フランス共和国の事例
(フランス共和国)
世界遺産の街並みを誇るストラスブール。しかし道路が狭く、慢性的な渋滞に悩んでいた。その都心部の再生を促すために導入されたのがライトレール。脱自動車化をすすめ、都市空間をヒューマン・スケールへとリデザインすることに成功した。
(フランス共和国)
パリのパサージュは、女性が着飾って歩ける公共的な空間を初めてパリという大都市に提供することになり、人気を博す。19世紀の新しい都市における発明品である。しかし、このパサージュも1920年代頃から寂れていく。しかし、近年、またその価値が見直され、歴史遺産として再生されている。そのまさに代表的な事例が、このギャルリ・ヴィヴィエンヌである。
(フランス共和国)
パリの12区にある4.9キロメートルに及ぶ世界で最初に高架橋につくられた直線上の回廊公園である。一度、このプロムナード・プランテに上ると自動車をまったく意識せずに、パリの空中散歩を楽しむことができる。
(フランス共和国)
パリの地下鉄駅は、地下鉄という公共施設であるため、多くの人が利用する。そのような施設において、アール・ヌーヴォー時代のパリを思い起こさせるこの地下鉄駅の意匠は、都市の貴重な記憶を継承させる装置としても重要な役割を担っていると考えられる。特に、取壊を免れたポルト・ドフィーヌ駅とアベス駅はオリジナルな姿を今日に伝え、建築文化遺産としても重要な存在である。
(フランス共和国)
シトロエン公園はジャヴェル駅に近く、パリのように圧倒的に土地に対する需要が高い大都市においては、ビジネス的には喉から手が出るほど欲しい、幾らお金を出しても買いたい、と思う企業がいくらでもいたであろう。それを敢えて、そのような商業的な土地利用をせずに、公園として広く人々が活用できる公共空間として整備をした。
(フランス共和国)
パリのセーヌ河岸、ルーブル美術館側は多くの自動車が行き来する自動車専用道路であったが、2016年、自動車が閉め出され、歩行者専用空間として6ヶ月間試行的に使われるようになった。アンヌ・イダルゴ市長はその後、永久に自動車をこの道路から追放すると発表。
(フランス共和国)
パリはホーブール地区の市場跡地に、ポンピドー大統領の指示によって1977年につくられたモダン・アート(現代美術)のための文化施設。そのデザインは、当時、随分と突飛な印象を人々に与えた。設計者のレンゾ・ピアノはその意図を「いかめしい文化施設のイメージを破壊したかった」(Figaro, 2017年2月)と述べている。
(フランス共和国)
オルセー美術館は1900年のパリ万博とのときにつくられたオルセー駅舎を再生したものである。セーヌ川河畔という一等地にあるにも関わらず半世紀近く放置されていた。市場の開発圧力を躱(かわ)しながらふさわしい機会が訪れるのを辛抱強く待ち続けた素晴らしい事例であると考えられる。
(フランス共和国)
ラ・ヴィレット公園はパリで三番目に広い公園である。1987年、かつて巨大な食肉処理場があった場所に、都市再生プロジェクト「グラン・プロジェ」の一つとして開業した。以来、子どもから大人までパリの住民に格好のレクリエーション空間を提供している。また観光客も多く訪れ、毎年1,000万人ほどの人々がこの公園を利用していると推計されている。
(フランス共和国)
2013年、マルセイユ旧港の広場に広大なる天蓋(オンブリエール)が架けられた。広場において建築が存在することのマイナス的要素をできる限り打ち消しながら、そのプラス的要素をしっかりと満たしたこの天蓋。これによって広場の魅力は大きく向上した。見事にツボをついた「都市の鍼治療」事例であると考えられる。
(フランス共和国)
リヨン旧市街地は中世の建物がしっかりと保全され現在に至っている。市民の立場から旧市街地の保全活動を担ったNGO「ルネサンス・ドゥ・ビュー・リヨン」は、建物の保全のみならず、コミュニティのアイデンティティ形成にも貢献し、その手法は世界中の歴史都市に影響を与えている。
インタビュー
(建築家・元クリチバ市長)
「よりよい都市を目指すには、スピードが重要です。なぜなら、創造は「始める」ということだからです。我々はプロジェクトが完了したり、すべての答えが準備されたりするまで待つ必要はないのです。時には、ただ始めた方がいい場合もあるのです。そして、そのアイデアに人々がどのように反応するかをみればいいのです。」(ジャイメ・レルネル)
(横浜市立大学国際教養学部教授)
ビジネス、観光の両面で多くの人々をひきつける港町・横浜。どのようにして今日のような魅力ある街づくりが実現したのでしょうか。今回の都市の鍼治療インタビューでは、横浜市のまちづくりに詳しい、横浜市立大学国際教養学部の鈴木伸治教授にお話を聞きました。
(福岡大学工学部社会デザイン工学科教授)
都市の鍼治療 特別インタビューとして、福岡大学工学部社会デザイン工学科教授の柴田 久へのインタビューをお送りします。
福岡市の警固公園リニューアル事業などでも知られる柴田先生は、コミュニティデザインの手法で公共空間をデザインされています。
今回のインタビューでは、市民に愛される公共空間をつくるにはどうすればいいのか。その秘訣を伺いました。
(地域計画家)
今回の「都市の鍼治療インタビュー」は、九州の都市を中心に都市デザインに携わっている地域計画家の高尾忠志さんへのインタビューをお送りします。優れた景観を守ための開発手法や、複雑な事業を一括して発注することによるメリットなど、まちづくりの秘訣を伺います。
(大阪大学名誉教授)
1970年代から長年にわたり日本の都市計画・都市デザインの研究をリードしてきた鳴海先生。ひとびとが生き生きと暮らせる都市をめざすにはどういう視点が大事なのか。
これまでの研究と実践活動の歩みを具体的に振り返りながら語っていただきました。
(クリチバ市元環境局長)
シリーズ「都市の鍼治療」。今回は「クリチバの奇跡」と呼ばれる都市計画の実行にたずさわったクリチバ市元環境局長の中村ひとしさんをゲストに迎え、お話をお聞きします。
(大阪大学サイバーメディアコモンズにて収録)
お金がなくても知恵を活かせば都市は元気になる。ヴァーチャルリアリティの専門家でもある福田先生に、国内・海外の「都市の鍼治療」事例をたくさんご紹介いただきました。聞き手は「都市の鍼治療」伝道師でもある、服部圭郎 明治学院大学経済学部教授です。
(龍谷大学政策学部にて収録)
「市街地に孔を開けることで、都市は元気になる。」(阿部大輔 龍谷大学准教授)
データベース「都市の鍼治療」。今回はスペシャル版として、京都・龍谷大学より、対談形式の録画番組をお届けします。お話をうかがうのは、都市デザインがご専門の阿部大輔 龍谷大学政策学部政策学科准教授です。スペイン・バルセロナの都市再生に詳しい阿部先生に、バルセロナ流の「都市の鍼治療」について解説していただきました。
(建築家・東京大学教授)
「本当に現実に向き合うと、(統計データとは)違ったものが見えてきます。この塩見という土地で、わたしたちが、大学、学生という立場を活かして何かをすることが、一種のツボ押しになり、新しい経済活動がそのまわりに生まれてくる。新たなものがまわりに出てくることが大切で、そういうことが鍼治療なのだと思います。」(岡部明子)
今回は、建築家で東京大学教授の岡部明子氏へのインタビューをお送りします。
(東京工業大学准教授)
今回の「都市の鍼治療インタビュー」は、東京工業大学准教授の土肥真人氏へのインタビューをお送りします。土肥先生は「エコロジカル・デモクラシー」をキーワードに、人間と都市を生態系の中に位置づけなおす研究に取り組み、市民と共に新しいまちづくりを実践されています。
(東京都立大学都市環境学部教授)
人口の減少に伴って、現代の都市ではまるでスポンジのように空き家や空きビルが広がっています。それらの空間をわたしたちはどう活かせるのでしょうか。『都市をたたむ』などの著作で知られる東京都立大学の饗庭 伸(あいば・しん)教授。都市問題へのユニークな提言が注目されています。饗庭教授は2022年、『都市の問診』(鹿島出版会)と題する書籍を上梓されました。「都市の問診」とは、いったい何を意味するのでしょうか。「都市の鍼治療」提唱者の服部圭郎 龍谷大学教授が、東京都立大学の饗庭研究室を訪ねました。
お話:饗庭 伸 東京都立大学都市環境学部教授
聞き手:服部圭郎 龍谷大学政策学部教授