039 サイクル・スーパーハイウェイ(デンマーク王国)
ストーリー:
サイクル・スーパーハイウェイは、コペンハーゲンを中心とした20の自治体の協働作業によって整備されることになった。その目的は、コペンハーゲンを中心とする首都地域が、国内でも最も自転車に乗りやすい地域にすることと同時に、環境に優しく、サステイナブルな交通手段である自転車をより普及させていくことにあった。
この自転車のためのネットワークは、首都圏域全体を網羅することが構想されており、現時点では26ルーツが計画されている。コペンハーゲンの西部の郊外に位置される自転車都市として有名なアルバーツルンドとを結ぶ「アルバーツルンド線」は既に2012年に開通している。
サイクル・スーパーハイウェイには4つのコンセプトがある。一つ目は「ネットワークへのアクセスの確保」である。これは、自転車を利用して仕事場、学校、自宅、公共交通の結節点へと円滑に移動することが可能となることである。二つ目は「ネットワーク網の充実」である。これによって、利用者は最速のルートでAからBへ行けるようになる。三つ目は「快適な走行体験」である。そして、四つ目は「安全」であることだ。
特にサイクル・スーパーハイウェイで留意しているのが、「快適な走行体験」であり、スーパーハイウェイ上にはサービス・ステーションがあり、そこでタイヤに空気を入れたりすることができる。また、交差点では足休めが置かれている。また、サイクル・スーパーハイウェイでは、独立した信号が設置されている。このように、自転車利用が最も快適に行われるような工夫が多く為されているのである。
サイクル・スーパーハイウェイは、首都圏域の通勤者が自動車もしくは公共交通ではなく自転車で通勤することを意図している。それは、自転車はより公害を出さないし、環境にも優しいだけでなく、利用者の健康も促進させることが期待できるからだ。また、道路の渋滞も改善させる。自転車利用者が増えることは、都市の生活の質を改善させることに繋がる。コペンハーゲンは自転車に注目することで、都市の魅力を大幅に向上させようとしているのだ。
キーワード:
自転車
サイクル・スーパーハイウェイの基本情報:
- 国/地域:デンマーク王国
- 州/県:デンマーク首都地域
- 市町村:コペンハーゲン市その他
- 事業主体:コペンハーゲン市その他
- 事業主体の分類:自治体
- デザイナー、プランナー:コペンハーゲン市その他
- 開業年:2012
ロケーション:
都市の鍼治療としてのポイント:
私事ではあるが、たまに思い立って自転車で通勤することがある。大抵、途中で後悔する。というのは、あまりにも自転車で都内を走るのが苦痛であり、また危険であるからだ。
そのような体験をしている私からすれば、コペンハーゲンやアルバーツルンドの自転車環境は東京とは比べものにならないほど素晴らしいものに感じられる。
さて、その素晴らしい自転車環境であるが、このサイクル・スーパーハイウェイは別格だ。それは、サイクリストの夢の道路といっても過言ではないであろう。交通量の多い道路と交差する時は、立体交差になっていたり、信号も自転車専用であったりする。危ないのは、他の自転車に追い越しをされる時ぐらいだが、それも道幅が十分に取られているので、ちょっと気をつけて走っていれば問題にならない。
東京や大阪といった大都市は、比較的平坦で、気候面から考えても、そして都市の構造からいっても移動するのに自転車は最適な交通手段の一つである。特に主婦が家の周りでママチャリを活用して移動するのに自転車はうってつけである。自転車は、エネルギーを節約するだけでなく、土地も有効活用することができる。コペンハーゲン都市圏が、自転車を促進させることは非常に里に適っている。そして、その利用をさらに大きく促進させることになるのが、このサイクル・スーパーハイウェイの事業であると思われる。
類似事例:
017 デービス・ファーマーズ・マーケット
021 大横川の桜並木
026 みんなでつくるん台
036 バナンナ・パーク
037 スーパーキーレン
038 サイクルスランゲン
076 自転車ステーション ミュンスター
232 ミュンスターの自転車プロムナード
276 インナーハーバー橋
・デービス自転車ネットワーク、デービス(アメリカ合衆国)
・自転車高速道路、アムステルダム(オランダ)
・ラッドシュネルスヴェグ・ルールRS1、ルール地方(ドイツ)
・ミュンスターの自転車専用道路、ミュンスター(ドイツ)
・エアランゲンの自転車専用道路、エアランゲン(ドイツ)
・アルバーツルンドの自転車ネットワーク、アルバーツルンド(デンマーク)
・リール・ランゲブロ橋(コペンハーゲン、デンマーク)