商店街に関する事例

270 自由が丘のサンセットエリアのまちづくり協定

(日本)

自由が丘というと、お洒落な街というイメージがあり、日本を代表するデベロッパー企業の力によって華やかな街づくりが展開されているような印象を持っている人も少なくないと思われる。しかし、自由が丘は、地元の人達がボトム・アップ的に地味な努力を絶えず積み重ねながらつくられた街なのである。

268 ゲトライデ通りの看板

(オーストリア共和国)

ゲトライデ通りは歩行者専用通りであり、おそらくザルツブルクで最も有名な通りである。それはザルツブルクの最も著名人であるヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの生家があるためであるが、それだけではない。このゲトライデ通りでとりたてて目を引くのは、すべての店舗の看板が伝統的なスタイルでつくられていることである。それらの看板は、道を往く人々の頭上に華やかにリズムを刻むように設置されている。

258 さんきたアモーレ広場・サンキタ通りの再整備

(日本)

さんきたアモーレ広場は、神戸市の三宮駅の東口にある約1,000平米の広場。サンキタ通りはこの広場を起点とし、阪急三宮駅の高架下に沿って延びている。さまざまな課題に悩まされていたが、神戸の玄関口にふさわしい空間をめざして再整備され、魅力的な空間へと改善された。

253 ロープウェイ通りの空間再構築

(日本)

松山市にあるロープウェイ通りは、松山市を代表する大街道商店街の北側を起点とする500メートルほどのバリアフリー道路である。地元関係者等から構成される協議会を立ちあげ、道路デザイン要素についてしっかりと検討して整備した結果、歩行者は従前に比べて約3.5倍、営業店舗数は約1.5倍(97店舗から147店舗)に増加し、さらに地価が12.6%ほど上昇した。

242 ノイハウザー・ストラッセとカウフィンガー・ストラッセ

(ドイツ連邦共和国)

1972年のミュンヘン・オリンピックを契機に歩行者専用空間となったノイハウザー・ストラッセとカウフィンガー・ストラッセは、まさにミュンヘンを象徴する歴史的な通りである。カウフィンガー・ストラッセにおける一時間当たりの平均通行者数は12,975人(2011年5月)。この通行者数の多さ(ドイツ国内で4番目)が、ここをドイツで最も売上高の多い通りとしている。

218 松應寺横丁にぎわいプロジェクト

(日本)

松應寺横丁には、戦後の闇市発祥の商店街と木造のアーケード、狭隘な路地が残っており、それらが昭和30年代のレトロな雰囲気を醸しだし、訪れる人々に強烈な郷愁を誘う。しかし、同プロジェクトが開始される前は、ここはもはや崩れかける寸前のような状態であった。それを、地元のNPOが住民と丁寧なコミュニケーションを重ねることで、その問題をテキスト化し、人々に共通した問題意識を持たせることに成功した。

204 16番ストリート・モール

(アメリカ合衆国)

16番ストリート・モールは、デンバーの都心部にある2キロメートルほどの長さのトランジット・モールである。その設計コンセプトは屋外広場であり、多くの人々が集い、交歓する場として機能している。多くのイベントが開催され、チェスをしたりする設備なども備えられている。「フリー・モールライド(Free
Mall Ride)」という無料バスはこの16番街モールを楽しむための快適なアクセスを提供しており、それによってデンバーという都市の魅力が一層開花していると考えられている。

195 ギャルリ・サンテュベール

(ベルギー)

19世紀中ごろにつくられた、窓ガラスの天井をもつショッピング・アーケード。当時の新しい技術である鉄とガラスが可能にしたこのタイプの建築物の先駆けである。

179 出町座

(日本)

出町座は京都市の出町柳駅そばにある桝形商店街の中にある映画を中心とした文化複合施設である。薬局の跡地に2017年に開業した。出町座がある桝形商店街の雰囲気は素晴らしい。この街があるからこそ出町座も映えるし、また出町座があることで桝形商店街の魅力も増すという素晴らしい相乗効果がここでは観察することができる。

170 ヴィア・スパラーノ(Via Sparano)の改修事業

(イタリア共和国)

バーリは治安が決してよいとは言えない。治安がよくないと人々は公共空間に不安を覚え、あまり近寄らなくなる。公共空間の魅力をつくりだすのは、そこに多くの人が滞在していることが必要条件である。そのため、デカロ市長は、この「バーリの居間」と呼ばれる中心街路に人が安心して、そして快適に過ごせるための仕掛けをつくりあげた。

165 ハガ地区の街並み保全

(スウェーデン王国)

数少ないイエテボリ特有の建築物である郡庁舎様式の建物をしっかりと集積した形で保全することに成功したハガ地区は、イエテボリのアイデンティティを具現化できる貴重な地区となり、その結果、多くの小売店舗が集積しており、歩行者中心の人が溢れる魅力的な都市空間となっている。

156 新栄テラス

(日本)

新栄テラスは福井市の福井駅西側の中心市街地にある商業集積地区における暫定的な駐車場活用広場である。来訪者のアンケート調査では新栄テラスによって「まちなかのイメージがよくなった」と回答した人が86%あったことや、それまでこの地区に来なかったような若い世代の人達が多く来るようになったことも分かった。

133 ギャルリ・ヴィヴィエンヌ

(フランス共和国)

パリのパサージュは、女性が着飾って歩ける公共的な空間を初めてパリという大都市に提供することになり、人気を博す。19世紀の新しい都市における発明品である。しかし、このパサージュも1920年代頃から寂れていく。しかし、近年、またその価値が見直され、歴史遺産として再生されている。そのまさに代表的な事例が、このギャルリ・ヴィヴィエンヌである。

131 スティーフン・アヴェニュー

(カナダ)

都心から自動車を排除して、歩行者専用の空間にするのは「都市の鍼治療」としては、極めて汎用的であり、外さない方法論である。しかし、北米の都市ではうまく行かない場合が少なくない。そのような課題を解決し、しかも歩行者専用空間を都市に維持させるうえで、カルガリー市がスティーフン・アヴェニューにて実践した対策は極めて効果的であった。

127 下北沢カレーフェスティバル

(日本)

まず、その始めたきっかけがいい。思いつきで仲間内でやってみたら楽しかったので、街レベルでやってしまおうという、「街を自らが楽しもう」という街の人の意識。さらには、それにIT技術を活用しようという、新しいものに挑戦する創造性。そして、そのような企画に乗っかる店舗群の腰の軽さ。

112 みつや交流亭

(日本)

そこは昼には子育て支援、子供達のたまり場、夕方には落語会や音楽会、映画界、講演会、勉強会、バザーなどに使われる。そして、清潔なトイレと冷たい水とベンチが提供されていて、いつも賑わっているちょっと不思議な空間である。

103 魚らんラボラトリー(魚ラボ)

(日本)

魚らん商店会は港区の白金高輪駅そばにある商店街を主体とした組織である。その会議室を明治学院大学の経済学科の服部ゼミナールが2013年から週に2回ほど借りて、商店街を対象とした地域研究を行なった。

091 平和通買物公園

(日本)

平和通り買物公園は、北海道の旭川市の駅前にある歩行者専用道路である。最初に車両交通の禁止を検討したのは1963年。その後、1969年に社会実験として道路から自動車を排除させ、その良好な結果を受けて、1972年6月には日本で最初の恒久的歩行者天国となった。これは、銀座の歩行者天国事業よりもはやい。

079 自由が丘の九品仏川緑道のベンチ

(日本)

日本の行政は、それまで公共空間で座るという発想すらなかった。そのような状況を、ベンチを置いたことで大きく変え、そして自由が丘という街を、人々が住みたくなり、また買い物等で行きたくなるような街へと変貌させたのである。面白い街だと人が思うところは、頑張っている人たちがいるということをも知らしめる素場らしい「都市の鍼治療」事例である。

075 プリンツィパルマルクトの歴史的街並みの再生

(ドイツ連邦共和国)

ミュンスター市の中心市街地にあるプリンツィパルマルクト。第二次世界大戦でほとんど破壊されたものの、戦後、以前と同じ姿で復興された。都市のオーセンティシティと歴史的文脈の保全に成功した実例。

059 サード・ストリート・プロムナード

(アメリカ合衆国)

自動車社会・ロスアンジェルス。その都市圏の中でも数少ないヒューマン・スケールの都市デザイン・プロジェクト。自動車排除のコンセプトをあえて曖昧にしたことがポイントとなり、リデザインに成功。昼も夜も多くの人が行き交う人気の街歩きスポットに。

058 チャーチストリート・マーケットプレイス

(アメリカ合衆国)

郊外のショッピング・センターに対抗するために、地元の力で魅力ある商店街を再開発。米国ヴァーモント州の風土を強く意識した空間デザインも功を奏し、年間300万人が訪れる人気の界隈に変貌。

056 ブロードウェイの歴史的街並みの再現

(アメリカ合衆国)

ロスアンジェルス市の都心において忘れられたアイデンティティを再生するプロジェクト。アメリカを代表する大都市であるにも関わらず、都心にある空きビル。これらをうまく有効活用するためのプロジェクト、それがブリンギング・バック・ブロードウェイなのだ。

032 迪化街の歴史保全

(台湾)

迪化街は、19世紀中頃の清朝末期におもに船荷を扱う商店が集積してつくられた街区である。この地区に隣接して貿易港がつくられたこともあり、清朝時代は樟脳、その後の日本統治時代には台湾の特産品となった烏龍茶を取り扱う店がここに立地していく。

インタビュー

ジャイメ・レルネル氏インタビュー

(建築家・元クリチバ市長)

「よりよい都市を目指すには、スピードが重要です。なぜなら、創造は「始める」ということだからです。我々はプロジェクトが完了したり、すべての答えが準備されたりするまで待つ必要はないのです。時には、ただ始めた方がいい場合もあるのです。そして、そのアイデアに人々がどのように反応するかをみればいいのです。」(ジャイメ・レルネル)

鈴木伸治氏インタビュー

(横浜市立大学国際教養学部教授)

ビジネス、観光の両面で多くの人々をひきつける港町・横浜。どのようにして今日のような魅力ある街づくりが実現したのでしょうか。今回の都市の鍼治療インタビューでは、横浜市のまちづくりに詳しい、横浜市立大学国際教養学部の鈴木伸治教授にお話を聞きました。

柴田久 福岡大学教授インタビュー

(福岡大学工学部社会デザイン工学科教授)

都市の鍼治療 特別インタビューとして、福岡大学工学部社会デザイン工学科教授の柴田 久へのインタビューをお送りします。
福岡市の警固公園リニューアル事業などでも知られる柴田先生は、コミュニティデザインの手法で公共空間をデザインされています。
今回のインタビューでは、市民に愛される公共空間をつくるにはどうすればいいのか。その秘訣を伺いました。

高尾忠志(地域計画家)インタビュー

(地域計画家)

今回の「都市の鍼治療インタビュー」は、九州の都市を中心に都市デザインに携わっている地域計画家の高尾忠志さんへのインタビューをお送りします。優れた景観を守ための開発手法や、複雑な事業を一括して発注することによるメリットなど、まちづくりの秘訣を伺います。

鳴海邦碩氏インタビュー

(大阪大学名誉教授)

1970年代から長年にわたり日本の都市計画・都市デザインの研究をリードしてきた鳴海先生。ひとびとが生き生きと暮らせる都市をめざすにはどういう視点が大事なのか。
これまでの研究と実践活動の歩みを具体的に振り返りながら語っていただきました。

中村ひとし氏インタビュー

(クリチバ市元環境局長)

シリーズ「都市の鍼治療」。今回は「クリチバの奇跡」と呼ばれる都市計画の実行にたずさわったクリチバ市元環境局長の中村ひとしさんをゲストに迎え、お話をお聞きします。

対談 福田知弘 × 服部圭郎

(大阪大学サイバーメディアコモンズにて収録)

お金がなくても知恵を活かせば都市は元気になる。ヴァーチャルリアリティの専門家でもある福田先生に、国内・海外の「都市の鍼治療」事例をたくさんご紹介いただきました。聞き手は「都市の鍼治療」伝道師でもある、服部圭郎 明治学院大学経済学部教授です。

対談 阿部大輔 × 服部圭郎

(龍谷大学政策学部にて収録)

「市街地に孔を開けることで、都市は元気になる。」(阿部大輔 龍谷大学准教授)
データベース「都市の鍼治療」。今回はスペシャル版として、京都・龍谷大学より、対談形式の録画番組をお届けします。お話をうかがうのは、都市デザインがご専門の阿部大輔 龍谷大学政策学部政策学科准教授です。スペイン・バルセロナの都市再生に詳しい阿部先生に、バルセロナ流の「都市の鍼治療」について解説していただきました。

岡部明子氏インタビュー

(建築家・東京大学教授)

「本当に現実に向き合うと、(統計データとは)違ったものが見えてきます。この塩見という土地で、わたしたちが、大学、学生という立場を活かして何かをすることが、一種のツボ押しになり、新しい経済活動がそのまわりに生まれてくる。新たなものがまわりに出てくることが大切で、そういうことが鍼治療なのだと思います。」(岡部明子)

今回は、建築家で東京大学教授の岡部明子氏へのインタビューをお送りします。

土肥真人氏インタビュー

(東京工業大学准教授)

今回の「都市の鍼治療インタビュー」は、東京工業大学准教授の土肥真人氏へのインタビューをお送りします。土肥先生は「エコロジカル・デモクラシー」をキーワードに、人間と都市を生態系の中に位置づけなおす研究に取り組み、市民と共に新しいまちづくりを実践されています。

饗庭伸教授インタビュー

(東京都立大学都市環境学部教授)

人口の減少に伴って、現代の都市ではまるでスポンジのように空き家や空きビルが広がっています。それらの空間をわたしたちはどう活かせるのでしょうか。『都市をたたむ』などの著作で知られる東京都立大学の饗庭 伸(あいば・しん)教授。都市問題へのユニークな提言が注目されています。饗庭教授は2022年、『都市の問診』(鹿島出版会)と題する書籍を上梓されました。「都市の問診」とは、いったい何を意味するのでしょうか。「都市の鍼治療」提唱者の服部圭郎 龍谷大学教授が、東京都立大学の饗庭研究室を訪ねました。

お話:饗庭 伸 東京都立大学都市環境学部教授
聞き手:服部圭郎 龍谷大学政策学部教授