民間ボランティアに関する事例
(日本)
「伝泊」は奄美大島、加計呂麻島、徳之島にある宿泊施設・複合施設。「伝統的・伝説的な建築と集落と文化」を次世代に伝えることを目的とし、奄美の建築家、山下保博氏によって計画された。空き家などの「負」の地域資産を再活用し、地域アイデンティティを掘り起こした創造的な事業として高く評価され、2020年ジャパン・ツーリズム・アワード(国土交通大臣賞、倫理賞、ダブル受賞)など数々の賞を受賞している。
(日本)
地震、津波に加えて、原発事故が重なるという未曾有の複合災害に襲われたいわき市の震災経験を次代に継承し、震災の記憶や教訓を風化させず、危機意識や防災意識の醸成等を図ることを目的とした「いわき市震災メモリアル事業」の中核拠点施設。
(アメリカ合衆国)
ニューヨークのマンハッタンにあるユニオン・スクエアはブロードウェイとフォース・アヴェニューの交差点に19世紀前半につくられた公共空間。およそ40年前には、ニューヨークでも誰も足を踏み入れたくないような場所が、それを管理運営する組織を設立したことで大きく様変わりした。土曜日に開催される人気のファーマーズマーケットには12万人の市民が訪れる。
(日本)
大阪のウォーターフロントである大正区の泉尾地区でも、近年、人口縮小という課題に直面しており、空き家が見られ始めている。一方で、大阪のアーティスト達にとって、大阪にはインキュベーター(孵化器)的な仕組みが不足していた。この二つの課題を解決し、さらに地域住民の交流を促すような目的でつくられたのが「ヨリドコ大正メイキン」である。
(アメリカ合衆国)
1990年代前半、マンハッタンの治安はよくなかった。生け垣に囲まれて周辺から視界のないこの公園は、麻薬の取引をするには絶好の場所となってしまった。そこでニューヨーク市は、本来であれば自治体の業務である公園の管理業務を、民間のNPOのブライアント・パーク公社に任せてしまうという判断をする。しかし、この責任放棄ともとれる行為が、結果的にブライアント・パークの再生につながることになる。
(ドイツ連邦共和国)
人口縮小は地域に大きなダメージを与える。まず、活力が削がれていき、状況を変更させるエネルギーとなる投資をしてくれる人もいなくなる。そして、空き家が増え、街並みはさらに寂れた感じになり、縮小を加速化させていくといったマイナスのサイクルが繰り返されていく。ザリネ34は、このマイナスのサイクルの回転を止めるために空き家に注目した。
(日本)
八百萬本舗の前進、旧志村金物店は数年ほど閉店をしていた。この商家は規模が大きかったので、単体の企業に貸したとしても撤退の意思も早い。そこで、金沢R不動産の小津氏は「必ず何か結果を残すので一棟、丸ごと借りられますか」と交渉する。
(日本)
おかげ横丁を訪れて感じるのは、ここの魅力は伊勢という地域の文化をコンセプトとして徹底させていることにあると感じる。伊勢でしかあり得ない、伊勢らしい街並みの中、伊勢の食材でつくった料理に舌鼓を打つ。
(日本)
鳥取県の江府町、日野町。多くの過疎集落を抱え、買物難民が生まれるような条件をほぼ満たしている地域である。しかし、ここではそのような問題は深刻化していない。なぜなら、安達商事という一民間企業が「ひまわり号」という移動販売を提供しているからだ。
(日本)
黒壁スクエアのユニークなところは、地元産業ではないガラスを街づくりのテーマにしたことである。通常、街づくりを考えるうえでは、地元の歴史などそのアイデンティティを活かすことが有効であり、王道であると捉えられている。
(日本)
日本の行政は、それまで公共空間で座るという発想すらなかった。そのような状況を、ベンチを置いたことで大きく変え、そして自由が丘という街を、人々が住みたくなり、また買い物等で行きたくなるような街へと変貌させたのである。面白い街だと人が思うところは、頑張っている人たちがいるということをも知らしめる素場らしい「都市の鍼治療」事例である。
(アメリカ合衆国)
サンフランシスコのゴールデンゲート橋を渡るとマリン郡になる。このマリン郡に224ヘクタールの規模のレッドウッドの森が保全されているミュア・ウッズ国定公園がある。サンフランシスコという大都市からわずか19キロメートルしか離れていないとは思えない、静寂なる大木の森である。
(ドイツ連邦共和国)
ドイツ再統一後、競争力の無さから閉鎖され、放置された広大な工場跡地がアーティストたちの活動の場として復活。ライプチッヒ市でも若者にも人気のある文化ゾーンへと変容した。何か創造したくなるような気分にさせられる刺激的な場所。
(日本)
大阪は水の都である。しかし、戦後は多くの世界中の工業都市同様、その水に目を背けて都市はつくられていった。そして、しばらく経つと、住民にとって水は縁遠いものとなってしまった。一方で、水はその都市にとって貴重なアメニティ資源である。都市の魅力を向上させていくうえで、水を活用しない手はない。
(日本)
高松港の貨物保管場所のために、昭和初期に建設された古い倉庫群がある。これらの倉庫は、宇高連絡船が営業中止になり、その結果、その役割を果たさなくなった。そして、周辺も人々に忘れられた賑わいのない地域へと変貌してしまった。その古い倉庫を活用して商業開発をして、新しい情報も発信するようにして、地域もまた人々に目を向けさせるようにしたのがこの北浜アリーである。
インタビュー
(建築家・元クリチバ市長)
「よりよい都市を目指すには、スピードが重要です。なぜなら、創造は「始める」ということだからです。我々はプロジェクトが完了したり、すべての答えが準備されたりするまで待つ必要はないのです。時には、ただ始めた方がいい場合もあるのです。そして、そのアイデアに人々がどのように反応するかをみればいいのです。」(ジャイメ・レルネル)
(横浜市立大学国際教養学部教授)
ビジネス、観光の両面で多くの人々をひきつける港町・横浜。どのようにして今日のような魅力ある街づくりが実現したのでしょうか。今回の都市の鍼治療インタビューでは、横浜市のまちづくりに詳しい、横浜市立大学国際教養学部の鈴木伸治教授にお話を聞きました。
(福岡大学工学部社会デザイン工学科教授)
都市の鍼治療 特別インタビューとして、福岡大学工学部社会デザイン工学科教授の柴田 久へのインタビューをお送りします。
福岡市の警固公園リニューアル事業などでも知られる柴田先生は、コミュニティデザインの手法で公共空間をデザインされています。
今回のインタビューでは、市民に愛される公共空間をつくるにはどうすればいいのか。その秘訣を伺いました。
(地域計画家)
今回の「都市の鍼治療インタビュー」は、九州の都市を中心に都市デザインに携わっている地域計画家の高尾忠志さんへのインタビューをお送りします。優れた景観を守ための開発手法や、複雑な事業を一括して発注することによるメリットなど、まちづくりの秘訣を伺います。
(大阪大学名誉教授)
1970年代から長年にわたり日本の都市計画・都市デザインの研究をリードしてきた鳴海先生。ひとびとが生き生きと暮らせる都市をめざすにはどういう視点が大事なのか。
これまでの研究と実践活動の歩みを具体的に振り返りながら語っていただきました。
(クリチバ市元環境局長)
シリーズ「都市の鍼治療」。今回は「クリチバの奇跡」と呼ばれる都市計画の実行にたずさわったクリチバ市元環境局長の中村ひとしさんをゲストに迎え、お話をお聞きします。
(大阪大学サイバーメディアコモンズにて収録)
お金がなくても知恵を活かせば都市は元気になる。ヴァーチャルリアリティの専門家でもある福田先生に、国内・海外の「都市の鍼治療」事例をたくさんご紹介いただきました。聞き手は「都市の鍼治療」伝道師でもある、服部圭郎 明治学院大学経済学部教授です。
(龍谷大学政策学部にて収録)
「市街地に孔を開けることで、都市は元気になる。」(阿部大輔 龍谷大学准教授)
データベース「都市の鍼治療」。今回はスペシャル版として、京都・龍谷大学より、対談形式の録画番組をお届けします。お話をうかがうのは、都市デザインがご専門の阿部大輔 龍谷大学政策学部政策学科准教授です。スペイン・バルセロナの都市再生に詳しい阿部先生に、バルセロナ流の「都市の鍼治療」について解説していただきました。
(建築家・東京大学教授)
「本当に現実に向き合うと、(統計データとは)違ったものが見えてきます。この塩見という土地で、わたしたちが、大学、学生という立場を活かして何かをすることが、一種のツボ押しになり、新しい経済活動がそのまわりに生まれてくる。新たなものがまわりに出てくることが大切で、そういうことが鍼治療なのだと思います。」(岡部明子)
今回は、建築家で東京大学教授の岡部明子氏へのインタビューをお送りします。
(東京工業大学准教授)
今回の「都市の鍼治療インタビュー」は、東京工業大学准教授の土肥真人氏へのインタビューをお送りします。土肥先生は「エコロジカル・デモクラシー」をキーワードに、人間と都市を生態系の中に位置づけなおす研究に取り組み、市民と共に新しいまちづくりを実践されています。
(東京都立大学都市環境学部教授)
人口の減少に伴って、現代の都市ではまるでスポンジのように空き家や空きビルが広がっています。それらの空間をわたしたちはどう活かせるのでしょうか。『都市をたたむ』などの著作で知られる東京都立大学の饗庭 伸(あいば・しん)教授。都市問題へのユニークな提言が注目されています。饗庭教授は2022年、『都市の問診』(鹿島出版会)と題する書籍を上梓されました。「都市の問診」とは、いったい何を意味するのでしょうか。「都市の鍼治療」提唱者の服部圭郎 龍谷大学教授が、東京都立大学の饗庭研究室を訪ねました。
お話:饗庭 伸 東京都立大学都市環境学部教授
聞き手:服部圭郎 龍谷大学政策学部教授