第5回 平成時代の流通小売業
新消費社会で流通は専門チェーン化とグループ経営化の二極化が進行
バブル経済とその崩壊から始った90年代から約20年の歳月を重ねたが、景気低迷が続き、いまもなお、停滞したその空気から抜け出すことができていない。
「失われた10年」という長期不況を経た日本の小売業者の生存戦略は何だったのか。
キーワードとして、ブランドと楽しさ、供給網管理、ターゲッティングがあげられるが、これを基に、日本の小売企業は、消費者を攻略し優勝劣敗を重ねながら成長を成し遂げている。
ブランドに集中した企業としてはファーストリテイリングで、ユニクロのブランドで知られる同社は、大々的なイメージ広告を通じ10年間に売り上げを7倍以上増やした。
楽しさに焦点を合わせ消費者を引き寄せた業者はマツモトキヨシであるが、若い女性のためのエンターテインメント型ドラッグストアを目指し10年間に111%の売上の伸びを示した。
顧客に笑顔を贈ることで忠誠度を高める戦略が的中したのだ。また、事務用品のアスクルは、事務社員に着目し、彼らをターゲットに一括購入ショッピングサービスを登場させた。
百貨店やGMSなどの量販大型流通企業の業績はこの10数年間の売上高は減り続けている一方で、ユニクロ、しまむら、ニトリなど新たな専門店チェーン企業が急成長している。
さらに、ITを駆使するネット通販ビジネスはわずか数年間で、コンビニエンス業界の売上約5兆円に匹敵するまでの売上高を上げるようになった。
日本全体の景気や消費が伸び悩む中、日本の社会構造は少子高齢化と人口減少社会化が進行し、日本の消費マーケットは、量も質もすっかり変わったのである。
インターネットが駆け巡る社会に、また、グローバル化社会が本格化したこの20年間で、流通業界はどのように変わったのか。
立澤芳男のHigh-Life 生活・社会総括レポート21 第5号
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