ヨーロッパから学ぶ「豊かな都市」のつくりかた

ファウバーン地区(フライブルグ)


連載|ヨーロッパから学ぶ「豊かな都市」のつくりかた

第4回 サステイナブルな都市、コミュニティづくり

明治学院大学経済学科准教授 服部圭郎

 地球環境問題が深刻化していく中、サステイナブルな都市づくり、コミュニティづくりが模索されている。ヨーロッパにおいても脱化石エネルギー、省エネルギー、生物多様性の確保、といった観点からサステイナブルな都市、コミュニティづくりが指向されている事例がいくつもある。 

 ヨーロッパは産業革命に成功し、蒸気機関を発明、自動車をも発明するなど、化石エネルギーを利用することで、その都市のモビリティを著しく向上させるだけでなく、それによって都市の構造、システムを大きく変革させることに成功した。

一方で石炭を中心とした化石エネルギーの過剰なる消費は、大気汚染や採掘場周辺の自然環境の悪化といった問題をもたらした。大気汚染は人々の健康への被害をもたらし、それへの対応を余儀なくされた。

その後、ヨーロッパにおいても石炭から石油という流れが見られたが、1970年代の二度のオイルショックを機に脱化石エネルギーといった動きが起きる。また、1972年にローマ・クラブが発表した『成長の限界』は、化石エネルギーの資源が枯渇するという警鐘を鳴らし、地球の有限性を指摘した。これらの一連のイベントによって、脱化石エネルギーの動きは、サステイナビリティの理念を提唱した1987年の国連報告書『地球の未来を守るために』、1992年に開催されたリオデジャネイロの地球サミットなどにより加速され、欧州連合の設立などを契機として、全ヨーロッパ的な取り組みにまで昇華されている。

その結果、風力エネルギー、太陽光エネルギーといった代替エネルギーの普及、また移動エネルギー効率の極めて悪い自動車ではない交通手段でのモビリティの確保、エネルギー・パスによるエネルギー効率の高い住宅などの普及を図っている。

脱化石エネルギーではデンマーク、ドイツ北部地域における風力発電の事例が知られるが、ここではドイツの最新のIBA事業であるハンブルクのヴィルヘルムスブルクを紹介する。ドイツのIBA事業は、日本でもよく知られているが、国際建設展という名称の都市・地域開発の国際コンペ事業である。ヴィルヘルムスブルクは「移民」、「サステイナブルな開発」、「新しいタウンセンター」という3つのテーマを掲げているが、ここでは特にエネルギー面での多様な取り組みを展開している「サステイナブルな開発」に注目して整理したい…

事例)
ハンブルグ(ドイツ)
ティルブルグ(オランダ)
ファウバーン(ドイツ)
コペンハーゲンのクリスチャナ(デンマーク)
レッチワース(イギリス)


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取材・構成
服部圭郎 明治学院大学准教授

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公益財団法人ハイライフ研究所

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