連載|ヨーロッパから学ぶ「豊かな都市」のつくりかた
第1回 アイデンティティを発露する人間中心の都心空間の創造
明治学院大学経済学科准教授 服部圭郎
都市においてアイデンティティを発露させることが求められるようになったのは、グローバリゼーションの進展、インターネットなどの情報技術の発展によって、人・モノ・金(資本)・情報の移動性が飛躍的に高まり、都市間競争が熾烈化したことが背景にある。そのような時代においては、都市であっても、しっかりと自らが個性、強み(弱み)を発信して、人・モノ・金(資本)を積極的に引き付けることが求められるし、また、そうしないと他の都市に人・モノ・金(資本)が取られてしまう。
したがって、国境がなくなったヨーロッパにおいては、この都市のアイデンティティを強化していくことは切実な課題なのである。
「都市の顔」を表情豊かに、その都市のポテンシャルや個性を表出したような、まさにアイデンティティを発露させるような空間とすることで、そこに生活する人々を豊かな気分にさせることができるし、またその魅力によって多くの人々を引き寄せることになる。アイデンティティを発露するためには、必ずしも空間というハード面に手を加える必要はない。その空間の使い方、演出の仕方といったソフト面でその魅力を大きく高めることもできる。
今回は、都心をその都市のアイデンティティを発露させる空間として位置づけ、その魅力を高めることで、その都市の良好なるイメージを発信すると同時に、そこで生活する人々に豊かさを提供することに成功しているヨーロッパの都市事例を紹介する。それは都市としての格を向上させるためのマーケティング戦略でもある。
事例)
リヨン(フランス)
ビルバオ(スペイン)
プラハ(チェコ)
レーゲンスブルク(ドイツ)
バルセロナ(スペイン)
取材・構成
服部圭郎 明治学院大学准教授
編集・配信
財団法人ハイライフ研究所
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