第6回 「家計」から見る消費生活
20年間ですっかり変貌した消費生活、新消費時代に染まる消費者
このところ消費についての話題は様々なメディアで取り上げられている。消費の低迷、価格値下げなどなどである。
最も多く取り上げられているのは「低価格」にまつわる話題で、安売りに狂騒するビジネス業界とそれに群がる消費者の振る舞いである。値引き競争に走る総合スーパー・百貨店などの大企業、低価格商品を開発し販売パワーを見せ付けるチェーン専門店企業、食品スーパーは身銭を切っての安売り競争を戦い抜く姿が映し出されている。消費者は安売り品購入を楽しんでいる向きもあるが、何故かしっくりきていない様子も見られる。
消費は混乱を極めているというのが現況であるが、そこには消費の変貌の姿と現実とのギャップがあることをうかがわせる。団塊世代の現役社会からの退場、少子化に加え景気の低迷、将来生活への不安などにより消費は「縮小」傾向にある。確かに十数年マイナス成長を続ける百貨店や総合イスーパーの売上高とその伸び率を消費市場の指標として把握する限りにおいては消費は縮小している。しかし、例えばチェーン専門店の市場や情報通信の市場、教育や医療関係の市場では史上最高の収益を上げている企業も続出しているのが現実である。
今回のレポートは、この20年間の消費生活を「家計」という観点からその変貌振りを見ているが、この総括において、消費についての認識と現実のギャップの存在を確認することができる。
例えば消費支出においてサービス支出のウエイトは高くなり、毎月の情報通信費はファッション費を上回るようになるなど、この20年間で消費は低迷してはいるが、消費生活は大きく変わってしまった。「旺盛な消費=生活向上=楽しい生活」といった図式も大きく変わっている。
本レポートでは、その消費の変化を確認するとともに、その消費生活の変化が、流通の「現場」に何をもたらしているのかをまとめた。
立澤芳男のHigh-Life 生活・社会総括レポート21 第6号
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