現代若者考・レポート
第四回 今どきの若者《働く編》|現代若者考・レポート
日経平均株価がバブル崩壊以降一時最高の2万3千円の大台に乗るなど経済的には久しぶりに明るい日本となっている。そんな中「若者世代」が深く関わる気になる話題が次々と報じられている。
ひとつは、今春卒業した大学生の4月1日時点の「就職率」が「98.0%(文部科学省・厚生労働省の調査)」となり、1997年の調査開始以来の過去最高を3年連続で更新。また、17年の「大卒初任給は20万6,100円(厚生労働省統計調査結果)」となり4年連続の増加で過去最高だったこと。若者の新卒者の今日の労働市場は、90年代にバブルが弾けた後、景気が低迷した「就職氷河期」(1993 年~2005 年)に比べれば革命的に改善された。
ふたつ目は、人口動態調査(総務省:2017年1月1日時点)によると、日本の「出生数は98万1,202人」で過去最少、また、「死亡者数は130万人」を超えて過去最多となり人口の減少の進行が鮮明となったことである。少子高齢化が進むのに伴い、主な働き手となる15~64歳の生産年齢人口も減り続けており、現代の若者の負担はさらに重くなる。
三つ目は、全国大学生活協同組合連合会「第53回学生生活実態調査(2017年10~11月)」で「大学生の1日の読書時間『0分』が53.1%」という調査結果だ。1日の読書時間を「0分」と答えたのは、全体で前年より4.0ポイント増加し、5年間で18.6ポイントも上昇している。インターネット、スマホが大学生を虜にしてしまった。
最後は、観光庁の発表によると、2017年の「訪日外国人観光客数は2,869万人、消費額は全体で4兆4,161億円」と過去最高を記録。その観光客数は日本の現代の若者(15~34歳)の総数である「2,608万人(2015年国勢調査)」を200万人以上も上回る。日本の若者は車離れを起こし、高級腕時計をしたり、高級バックを持ったりしている若者はほとんどいない。若者の消費市場を大きく上回るインバウンド消費市場だが、日本においては若者たちより訪日外国人が注目を浴びる時代になった。
いつの時代も若者は社会の中で別枠的な存在として語られてきたが、上述したような若者たちの新たな状況を見ると、現代の若者は今までの若者達とは全く違った状況や社会的ポジションに置かれていることが伺える。
今回は、今から約半世紀前、日本で最初の若者世代として登場してきた『団塊世代の若者』から50年後の今日に至るまで、日本の社会で大きな話題を生み出してきた『若者世代』の変遷をレポートする。
執筆者 マーケット・プレイス・オフィス代表 立澤芳男(たつざわよしお)
■流通系企業の出店リサーチ・店舗コンセプトの企画立案
/都市・消費・世代に関するマーケティング情報収集と分析
■現ハイライフ研究所主任研究員
■元「アクロス」編集長(パルコ)/著書「百万人の時代」(高木書房)ほか
現代若者考・レポート 第4回 全文は以下のリンクからもお読みいただけます。
≪目次≫
パートⅠ-労働力としての若者の就労状況
1.若者の労働力人口と人口比率
2.若者の就業従事(産業別/職業別)
パートⅡ-若者の労働条件(賃金・初任給)
1.若者の賃金
2.大卒初任給
パートⅢ-若者の失業。フリーターから無業者へシフト
1.若者の失業
2.若者の雇用体系
3.フリーター&無業者
4.若者の同居状況
・執筆者メモ
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