【研究報告】 高齢者のライフスタイルに関する基礎研究
-アクティブタイムとドメインを探る-

 公益財団法人ハイライフ研究所では創設以来、「都市生活者のよりよい生活の実現」を事業理念とし都市生活研究を行ってきています。
 現在、日本は人口減少、経済の長期低迷など、過去に経験したことがない多くの重大な困難に直面しています。国民生活に大きな影響を与えている少子高齢化、経済のグローバル化、慢性的な国内需要不足といった社会変化に適切に対処していくことが重要です。なかでも少子高齢化の急速な進行は深刻であり、年金や医療・介護など社会保障制度の将来に対する不安が、節約志向と貯蓄の意識を高め支出を鈍らせ構造的なデフレ体質による経済低迷をもたらしています。また雇用環境や労働環境も大きく変化している。非正規雇用の労働者や低所得者層の増加により経済循環はますます鈍化している。さらには少子高齢化や単身高齢者世帯の増加による世帯構造の変化など国民の暮らしが上向くイメージが描きにくい時代ではありますが、当財団では本年度から2年間に亘り「超高齢社会における次世代高齢者の幸福の追究」と、豊かな生活を営むための「経済循環(消費の活性化)」に主眼をおき以下の研究を行っています。

A.次世代高齢者研究
2025年、高齢化社会はこう変わる。~現50代が及ぼす影響と、高齢者の幸福の追究
B.近未来消費研究
高齢化と人口減に伴う、消費行動変化の研究~消費者と流通の未来

 これらの研究をスタートさせる事前準備として、当財団で2010年から毎年実施している「都市生活意識調査」の2015年度調査を活用し、高齢者の日常生活行動に関する基礎データを取得しました。(全調対象の中から65歳から79歳の標本に対し高齢者専用の質問)
※「都市生活者意識調査2015」http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=13284#02

 さらには新たな調査手法として、株式会社パスコの開発による『GPS行動分析システム』
を活用し、対象者に1週間GPS端末機を持っていただき、地図ソフト上に分刻みの行動をプロットして、日常的な外出行動を把握し、

①高齢者のアクティブタイム(活動時間帯)
②高齢者のドメイン(生存領域)
を明確化しました。

 標本は「都市生活者意識調査2015」の回答者の中で顕著な行動特性が現れた18名を抽出し実行しました。今回の調査はあくまでも実験的な試みであり標本数が限られているため定量的な分析においては精度に欠ける部分がありますが、特徴的な傾向を見ることができましたので、新しい調査手法の公開の意義も含めて、報告書の形で公表することと致しました。


調査研究体制
◆ 調査研究機関
公益財団法人 ハイライフ研究所

◆ 調査研究幹事
櫻井隆治
(公益財団法人ハイライフ研究所 代表理事副理事長)

◆ 調査実施担当
株式会社 行動科学研究所
株式会社 パスコ

◆ 調査研究担当
水嶋 敦
(自由学園 最高学部 特任教授)
丹野俊明
(株式会社 行動科学研究所 特別顧問)
藤原 豊
(公益財団法人ハイライフ研究所 執行理事専務理事)
生方純一
(公益財団法人ハイライフ研究所 事務局長)
奥野 守
(株式会社パスコ ビジネスソリューション技術部ビジネス一課 課長)
雨宮源太
(株式会社パスコ ビジネスソリューション技術部ビジネス一課)
大嶋俊之
(株式会社パスコ ビジネスソリューション技術部ビジネス一課)

 

■2015年度研究報告
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=13284

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