今回のインタビュー対象者は、団塊ジュニアからZ世代までである。この2つの世代には年齢的に大きな幅がある。「失われた30年」といった経済の低迷を指す言葉があるが、生きるということは経済成長(低迷)だけに依存しているわけではなく、生活環境や人間関係など、様々なことがらが変化する中に身を置くということである。従って、51歳の伊藤さんと21歳の佐藤さんにみられる違いは当然存在している。その一方で、共通するであろう特性というものも存在する。
例えば、私個人の職歴(新卒で入った会社に30年以上在籍)について、伊藤さんは転職経験が無いことに驚き、佐藤さんには同じ会社にずっと長くいることが想像できないと言われた。つまり、同じ会社で勤め続けることについて、不思議がられるということがあった。個人的には、不思議がられるものでもないと思うが、時代は変化しているようで、8人の中で21歳の佐藤さん以外は、転職や起業の経験をお持ちである。農業を営む田中さんは、株式会社として起業している。佐藤さんにおいても結婚を機に退職すると断言している。今、夢の途中にいるかどうか、幸せを追い求めているのかどうか、自らに問うことでしっかり生きている気がする。
今回、インタビューさせていただいた8人の方は、夢を追いかける、自らの生き方を模索する力が強い人ばかりと言ってもいいかもしれない。それは育った環境や偶然による機会の獲得も影響していることだろう。その一方で現実社会においては、自ら夢を追いかける、探し求める力が弱い人も、かなりの割合で存在するのではないだろうか。極端な例かもしれないが、今日を生きることが最優先となれば、夢を追いかけることが二の次になっても仕方が無いかもしれない。また、恩師と呼べる人との出会い、ボランティア活動、アルバイト先での経験といったことでも、人生のてんき予報は刻々と変化する。夢は突然あらわれるのかもしれないが、環境やきっかけに恵まれない人もいれば、このようなきっかけを必要としない人もいるのかもしれない。
そもそも団塊世代に比べて、生き抜く力やレジリアンスが弱いのではないかという仮説から今回のインタビューはスタートした。しかし、必ずしもそうではないと感じられた。8名を若者全体の代表として語ることはできないが、しっかりと自分らしく生きていこうとする力の存在を実感できた。そのことはインタビューを企画したものとして喜ばしいことであり、インタビューを見届けていただいた方にとって、前向きなものとして感じていただければ幸いである。
「人生のてんき予報」のインタビュー取材はこれにて終了いたします。ご精読ありがとうございました。