もうひとつのオランダ農業

コミュニティ都市農業の可能性

2023年11月2日/執筆:岡橋 毅(ウーストへースト/オランダ在住)

<写真1> 初めて参加したヘーレブーレの公開見学会の様子
<写真1> 初めて参加したヘーレンブーレンの公開見学会の様子。後に、私が参加することになる「ヘーレンブーレン Aan den Drecht 」の立ち上げ人とは、ここで出会った (筆者撮影)

2030年には、世界の人口の60%が都市に住むようになるという。都市はさまざまな課題の温床であり、課題解決の端緒となる場所でもある。最大の課題のひとつは、人々のお腹を満たす「食べ物」の問題だ。都市に住む人たちが、健康的な生活を営めるように、手頃な価格で食べ物を手に入れることができるかどうか。これは、「都市の食料安全保障=アーバン・フード・セキュリティ」とも言われる。普段、なにげなく食べていたものの価格が高くなって手が出しにくくなる。あるいは、あからさまに1袋の内容量が少なくなった……近年の食料品の高騰の影響で、そんな経験をしている方も少なくないはずだ。

解決方法のひとつの方向が「効率性」である。私が3年前から暮らし始めているオランダは、高度に効率的な農業で世界的に知られている。『ナショナルジオグラフィック』誌(2017年9月号)の特集「オランダが救う世界の飢餓」でも伝えられたように、最新の技術を活用することで、できるだけ少ない資源(水やエネルギー、肥料等)で、できる限り多くの収量を得ることを可能にする農業(「精緻農業」とも言われる)の最先端を走っている。

私は、野菜の種子の世界シェア10%を誇るオランダの野菜育種・種子生産会社「RIJK ZWAAN」の研究施設にあるグリーンハウスを見学したことがあるが、温度や水、栄養はもちろんのこと、二酸化炭素の濃度まで管理していることに驚いた。ますます増える都市住民の食卓を支えるため、効率的で持続可能な精緻農業は、その重要さを増していくだろう。

しかし、今回取り上げたいのは、効率を求める方向ではない農業だ。具体的には、「Herenboren(ヘーレンブーレン)」という生活協同組合型のコミュニティ農業を紹介する。農業でもあり、コミュニティでもあり、社会運動でもあるような活動で、オランダ国内でその数をじわじわ増やしている。

このユニークな実践は、後述するように「効率性」という点からは疑問符がつく。しかし、こうした実践が必要だ、私も関わりたい・実践したいという人たちが増えている。私自身もこのコミュニティに参加して2年になる。

効率的な精緻農業大国であるオランダで「もうひとつの農業」がひそかにファンを増やしているのはなぜか。オランダに暮らす都市住民の一人として、これまで見聞きした情報と実体験をお伝えしたい。

<写真2> ヘーレブーレ発祥の地ボクステル(Boxtel)の農地。きれいに輪作していることがうかがえる (筆者撮影)
<写真2> ヘーレンブーレン発祥の地ボクステル(Boxtel)の農地。きれいに輪作していることがうかがえる (筆者撮影)

異国の地で始めた野菜の定期購入

今週はどんな野菜が届くのかな? 野菜の定期購入を始めてから2年が過ぎた。

始めた頃は、どんな野菜がやってくるのか直前までわからないし、フダンソウ、赤ビーツ、ポロネギ、ケールなど慣れない野菜をどう調理するかにも苦労した。一度に大量の芽キャベツやズッキーニがくることもある。どう食べるかを思案しているうちに、せっかくの新鮮さが失われてしまうこともあった。

いまでは季節に合わせてどんな野菜がやってくるのか、おおよそ想像できるようになり、リズムもつかめてきた。毎週の収穫が楽しみだ。余らせないように、生野菜はなるべく早く食べる。迷ったらスープにする。珍しい季節野菜はレシピを検索してトライする。いまではすっかり真っ赤なビーツが好物になった。ケールは油を塗ってパリパリに焼けばいくらでも食べられる。フダンソウはほうれん草みたいにおひたしにしてしまえば、苦もなく“大量消費”できる。

メンバーが協同組合員になるコミュニティ

ヘーレンブーレンは、2013年にオランダの中央部に位置する北ブラバント州のボクステルというまちで始まったコミュニティの実践である。2023年10月時点で、同様の仕組みを持つヘーレンブーレン農場はオランダ国内で18ヶ所。どの農場にもヘーレンブーレンという言葉に都市名がつく。私が参加している「ヘーレンブーレン Aan den Drecht」は、2021年の夏にスタートしたばかりの比較的新しいヘーレンブーレンだ。

ヘーレンブーレンは、農家が同じ地域に住む住民と支え合いながら営農する「地域支援型農業(Community Supported Agriculture)の一形態と言える。ヘーレンブーレンが一般的な「地域支援型農業」と異なるユニークな点は、農家ではなく地域住民が事業オーナーになるところだ。

どういうことかというと、コミュニティの参加メンバー全員が、同じ農場を共同運営する組合員(世帯ごと)となるのである。ヘーレンブーレンはどこでもだいたい200世帯で組合が形成され、この組合を通じて、農場を運営する農業の専門家である営農者(ファーマー)を共同で雇用する仕組みだ。営農者は被雇用者となり、給料をもらいながら作物の生産と農場管理を行なう。有休もある。

農場の面積は約20haで、そのうち4haほどが野菜栽培、2haがベリーなどの果物栽培である。農場では、通常10頭の豚、200羽のニワトリ、数頭の牛が飼育されている。野菜や卵は毎週、肉は冷凍パックになった挽肉や切り身が数ヶ月に一度配給される。

基本的には有機農法で栽培されているが、市場向けの販売をしないことや認証プロセスにかかる経費を節約するため、認証を受けてはいない。

<写真3> オランダ国内のヘーレブーレの分布。
<写真3> オランダ国内のヘーレンブーレンの分布。緑とオレンジの丸は、立ち上げ準備中だったり、興味を持っている人たちの分布を示している

どのヘーレンブーレンでも、1〜3人のファーマーを雇っている。だが、約20haの土地で、200世帯(胃袋の数で言えば500人ほど)のお腹を満たす農産物を生産するのは、なかなかの労働となる。埼玉で有機栽培農家を営む友人にヘーレンブーレンの話をしたら「すごいね、クレイジーだね」と言われたほどだ。

だが実際は、ファーマーたちに農作業を任せっきりにしているわけではない。むしろ、毎日のように組合メンバーが作業を手伝う。特に集荷と配給作業は何人ものメンバーが行なっていて、組合メンバーのボランティアがなければ、成り立たない。労働という意味でも「効率性」は高くない。

野菜の配給も、自宅に配達してくれるわけではなく、現地に取りに行く必要がある。私はご近所のメンバーと交代で取りにいくようにしている。ご近所グループが6家族なので、6週間に一度は取りにいく計算になる。

費用対効果より、コミュニティへの貢献

組合員は世帯ごとに2,000ユーロ(2023年10月時点の為替で約30万円)を出資する。出資金は、主に農園を立ち上げるために使われる。デポジットなので、組合を脱会する際には戻ってくる。

加えて、「Contribution(貢献)」と呼ばれる、毎週15ユーロ/1口の支払いが求められる。我が家は4人家族なので2口。毎月127ユーロを「貢献」している。これはなかなかのお値段だ。決してお得なわけではない。むしろ割高ではないか。

なのになぜ、この“面倒くさい”ともいえる形態のコミュニティ農業が、じわじわとファンを増やしているのだろうか。

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<写真4> 9月のある週末にやってきた野菜たち。かぼちゃ、レタス、白菜、ポロネギ、ジャガイモ、ニンジン、ミニトマト、洋梨、卵、ハーブ。この時期は野菜の種類も量も多い (筆者撮影)

高い環境意識

ひとつには、オランダに住む人たちの間で、これまで行なわれてきた慣行農業(化学肥料や農薬の使用を前提とした農業)や超効率的農業に疑問や不安を感じている人たちが増えているという背景がある。

組合の仲間に「なぜヘーレンブーレンに参加したのか」を聞いてみると、「遠いところから何日も移動してきた野菜を食べている」「肥料の使いすぎで土地が痩せてしまう」「アボカドをつくるために大量の水資源が必要」「プラスチックの袋や容器を大量に使うことになる」といった問題意識や、「どんな農薬や肥料が使われているのか、消費者にはわからない」という不安について語る人が多い。農作物が私たちの口に入るまでの長い長いサプライチェーンが必要に応じながら最適化されてきた仕組みとはいえ、それが引き起こすさまざまな問題をみんなよく理解している。環境意識の高さを感じる。

オランダでは、サスティナブルな食品に対する家庭の支出は、約22億ユーロ(2013年)から約95億ユーロ(2021年)まで増加した。コロナ禍や物価高で、最近はペースが落ちたようだが、関心の高さは変わらず、むしろ高まっていると思う。スーパーでも、EUの有機認証のついている野菜や食品も数多い。他にも、大豆などでつくられる代替肉のパテや揚げ物、ソーセージの販売コーナーも、ここ数年、年を追うごとに増えているという感触がある。

土壌を劣化させない農業

食の問題に意識を持ち始める入り口は、人によってさまざまだ。しかし、環境意識が高く、組合に入ってまで自律的・共同的に食べ物を調達したいと思うような人たちの間で、最も強く意識されているのが「土壌」だと思う。

映画「Kiss the Ground」をご覧になった方はおられるだろうか。細かいところでは賛否両論あるだろうが、これまで私たちの食を支えてきた近代的な農業のやり方を続けることが難しくなっているというこの映画の主張には賛同されるだろう。

つまり、農地を耕して肥料や農薬、そして水を大量に使う慣行農法は、一定期間は“効率的”に多くの収穫をもたらしてくれるが、長い目で見れば、土壌は侵食され、劣化し、流れ出した農薬や肥料が環境汚染を引き起こしており、持続可能ではないことは明らかだ。ただ、構築されてきたシステムが巨大すぎて、変わることが難しい。

「Kiss the Ground」や書籍『土を育てる:自然をよみがえらせる土壌革命』*1などで言及されている「耕さない農業」は、国際連合食糧農業機関(FAO)が推奨する農法にもなっている。

「耕さない農業」は、「保全農法(Conservation Agriculture)」ともいわれる。慣行農法よりも収穫量は減少するが、「耕さないので燃料費や作業時間(人件費)を節約でき、化学肥料や農薬の投入量も削減できる。したがって、生産コストの大幅な削減が可能である。その結果、農家の収益は大きく改善される」(『ほんとうのサスティナビリティってなに?:食と農のSDGs』*2p19)。世界の保全農法の耕地面積も急速に増えている。

ヘーレンブーレンも有機農法を基本とし、「サスティナブルな未来は、土から始まる」と謳っている。


[1] ゲイブ・ブラウン著『土を育てる:自然をよみがえらせる土壌革命』(NHK出版/2022)
[2]  関根住恵編著『ほんとうのサスティナビリティってなに? 食と農のSDGs』(農山漁村文化協会/2023)

ヘーレンブーレン以外にも土壌を劣化させず、むしろ豊かにしていくような実践は数多く生まれてきている。

例えば、アグロフォレストリーを実践する「De Janmiekeshoeve」、環境再生型農業(Regenerative Agriculture)に取り組んでいる「Klompe Landbouw」(ここで栽培された大豆でオランダ産醤油が製造されている)、環境ファーマーを雇う「Bodemzicht」、ヘーレンブーレンと同様の仕組みを持つ「De Waalgaard」などである。

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<写真5> Bodemprofielenのウェブサイトでは、オランダ国内の土壌、地形、地下水位に関する最新情報を確認することができる

土壌を劣化させないための取り組みは、オランダでもEUでも、農業政策や環境政策の柱になりつつある。

オランダ政府は、2018年に「土壌戦略(Soil Strategy)」を発表。2020年にすべての農業土壌の状態を全国規模で測定する「国家プログラム農業土壌」を開始し、2030年までにすべての農業土壌が持続的に管理されることが目指されている。

具体的な取り組みとしては、「Better Soil Management(より良い土壌のマネジメント)」という公民連携のリサーチプロジェクトが走っている。全国の土壌の状態や対策についてのデータを閲覧できる「Bodemprofielen(土壌のプロファイル)」というサイトもある。

また、欧州委員会が2019年に発表した「欧州グリーンディール」の重点戦略の中に「生態系および生物多様性の保護と再生」がある。そのための方針のひとつに、EUに加盟する国々は、化学農薬の使用とリスクを把握し、肥料と抗生物質の使用量の大幅な削減を目指す目標を設定する義務を負うことになっている。

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<写真6> アムステルダム市が制作した、都市においていかに土壌や生物多様性が重要な役割を持っているのかを豊富なビジュアルとともに伝えるレポート”BiodiverCity”より。ウェブから無料で読める

土壌の健康を守り豊かにしていくことは、脱炭素の政策とも深く関わる。なぜなら、豊かな土壌には二酸化炭素も窒素も豊富に保持されるからだ。オランダでは、窒素の問題に大きく関わる酪農への規制を強める動きがあり、多くの酪農家の反発を招くなど、大きな社会問題になっている。

土壌の問題は、環境問題、脱炭素の問題とも絡み合い、政策としても人々の意識としても注目を集めているのだ。

誰もが始められる仕組みづくり

もうひとつ、ヘーレンブーレン農場がオランダ全土で少しずつ増えていっている理由として挙げられるのが、仕組みづくりのうまさだ。ヘーレンブーレンは、誰でもやりたいと思った人が始められる。現在ある18ヶ所のヘーレンブーレンはどこも「やりたい」と自主的に手を挙げた人たちがいる地域であって、ヘーレンブーレンの全国組織(Herenboeren Nederland)が計画的に増やしているわけではない。全国組織の役割は、新しい農業コミュニティの立ち上げを支援し、ネットワークの中で知識やノウハウを共有するサポートである。ファーマーの研修も行なっている。

もちろん、実際にコミュニティを立ち上げるとなると、大変なことの連続だろう。

私が参加しているヘーレンブーレンは、最初は数人の女性グループが始めた。自分たちの地域にもヘーレンブーレンが欲しいと立ち上がり、数々の課題を乗り越えて実現したのだ。私は発起人のおばさま2人が設立に向けて奔走している時期に出会ったので、苦労の一部始終を見ているわけではないが、出会った頃、立ち上げに向けて彼女たちが「お金」で苦労していたのはよく覚えている。なにしろ、オランダは人口密度が高く、土地の値段が高い。200世帯規模の営農に必要とされる20haの農地を買おうとすると、場所によっては2〜3億円(もっとかもしれない)が必要なのだ。なかなかハードルの高い金額ではないか。

この問題を解決してくれたのが、オランダ国内でも社会派の銀行として知られるトリオドス銀行だった。トリオドス銀行の「Triodos Regenerative Money Centre」は、いわゆる銀行としての採算を度外視して、ヘーレンブーレンがフードチェーンの変革に欠かせない存在だと認めた上で、お金のサポートをしてくれている(すべてのヘーレンブーレンがお世話になっているわけではないが)。このサポートのおかげで、ヘーレンブーレンは賃料を払うだけでやっていけるのだ。

ヘーレンブーレンのような“効率的”ではないコミュニティをつくろうという人たちにとって、志を同じくする仲間のネットワークや活動を後押ししてくれる組織などの存在は、物質的にも精神的にも大きな支えだろう。

都市農業の多様な社会的便益

これまでみてきたように、ヘーレンブーレンには、“効率的な農業“とは異なる目的や役割がある。

都市農業にはさまざまな目的や形態を持つ実践がいくつもあり、ヘーレンブーレンが代表的な実践であるというわけではない。他にも、いわゆる「市民農園」や「市民菜園」も盛んに行なわれている。

農業経済学者の久野秀二さんは、オランダの社会的市民農園を論じた連載記事の冒頭で、オランダの市民農園は、「参加する市民自身の直接的ニーズ(農業体験と食料調達)を満たすためだけでなく、文字通り地域コミュニティの形成・再生と、それを通じた教育活動や福祉活動、都市緑化(気候変動対応)や社会的包摂など、さまざまな社会課題の解決に貢献することを主目的とするものが数多くみられる」と述べている。

そして、この記事の中では、近隣コミュニティの持続可能性と社会的包摂のために、地域住民同士の交流を促したり、移民や子どもたちの居場所づくりをしたり、フードバンクやコミュニティ食堂への食材提供などの活動を行っている、さまざまな社会的市民農園の活動が紹介されている。

ヘーレンブーレンは、このような社会的市民農園とビジネスとしての農業との間に位置する存在といえる。 最後に、ヘーレンブーレンの立ち上げに際して書かれた文章「私たちの変革のための理論(Our Theory of Change)」を紹介したい。ここには、ヘーレンブーレンを立ち上げた人たちのビジョンが描かれている。

想像してみてほしい。オランダの人々が毎日、新鮮な農産物を食べている姿を。1,700万人がいまよりも健康で生き生きとし、その違いを自ら体験している。想像してほしい。新鮮な空気と、美しく、生産的で、楽しく、住みやすい風景のある国に住んでいることを。鳥たちの群れが飛び回っている様子を。
ヘーレンブーレンでは、まざまざと想像することができる。なぜなら、それは可能なことだから。

(中略)

2060年のオランダにタイムスリップしたとして、私たちの国が長期的な展望のもとに、完全にサスティナブルで、再生可能で、柔軟な食料生産システムを持っていたとしたらどうだろう? 私たちの目の前に広がるのは、田園地帯のほとんどの地域において農業と自然保全がうまく混ざり合っている幸せな国だ。

この文章には、2060年には70万haをヘーレンブーレン的な農地にしようとも書かれている。2021年のオランダの耕地面積は約100万haなので、70万haをヘーレンブーレン的な農地にするということは、ほぼオランダ全域でヘーレンブーレンが実践されている計算になる。とても壮大な目標だ。なかなか道のりは遠い。でも、コツコツと増やしていけば、あるいは……と思わせるビジョンと愚直さがヘーレンブーレンにはある。より現実的には、2030年までにオランダ全土に350ヶ所のヘーレンブーレンを立ち上げるという目標があるそうだ。

改めてこの「檄文」を読み返してみて、私は毎月払っている「貢献」の意味を再び考えた。私が払っているのは、野菜やお肉のため(だけ)ではないのかもしれない。あくまでコミュニティへの「貢献」であり、もっと言えば、新たな「食と農業の仕組み」をつくっていくための「貢献」なのではないか。

自分の食べ物や農業のことを“対価”以上のものとして考えられるのは、先進国に生きる、恵まれた教育を受けることができた、ある程度のお金の余裕がある人たちだけではないかという側面も確かにあるだろう。それでも、これからの都市生活者にとっての「食」を、どう公正で健康的で、環境にも優しく、おいしいものにしていけるのか、という問題は、ますます身近で深刻なものになっていくと考えられる。

そんな時に、ヘーレンブーレンの活動が、私たち組合メンバーに与えてくれる「自分たちにもできることがある」「助け合いながら、ここまでできる」という実感には、大きな意味がある。そして、その実感をつくっていける土地は、オランダだけでなく、まだまだ地球上にはたくさん残っているのだ。

[謝辞]
この場を借りて、ACTANT FORESTの仲間に感謝を伝えたい。ACTANT FORESTは「Design with Nature(自然と共創する)」をコンセプトに掲げて、さまざまなデザイン実践や発信に取り組んでいるデザインコレクティブである。今回記事で書いたことのほとんどが、ACTANT  FORESTの仲間たちと一緒になって調べたり、議論したり、記事にしてきたことがベースになっている。
https://note.com/actant_forest/

岡橋 毅:デザインリサーチャー/ライター
1978年東京生まれ。2020年よりオランダ在住。リサーチや事業創造プログラム、未来洞察プロジェクトなどを経験後、渡蘭。科学技術、社会、文化が交差する現代的課題のリサーチやライティング、デザインファシリテーションを手がける。「Design with Nature」をコンセプトに掲げて活動するACTANT FORESTメンバー。個人サイト:bit.ly/3RT3ndy

企画・構成:紫牟田伸子(Future Research Institute)