現代若者考・レポート
第六回 今どきの若者《家計消費事情》|現代若者考・レポート
お金がないことはない。慎重になっている20代のお金の使い方と家計管理
最近の雇用や所得環境が大幅に良くなっているのに消費は相変らず力強さを欠く。
その消費に関しては、2000年代に入ってから狂いはじめている。少子高齢化で若者の人口減となり、そのことが日本の消費総額(量)に大きな課題を突き付けた。一方、量の問題ではなく、時代を先取りすると思われている若者の消費に○○消費離れというような消費の質の問題も浮上してきた。「若者の街」=渋谷では、若者より訪日外国人が目立ち、ブームの火付け役だった「SHIBUYA109」は苦戦。酒やクルマなど、若者の「○○離れ」は常識として語られ、ネット企業ですらその動向を捉え切れない。「若者はお金を使わない」──。そんな認識が、企業の間で定説となっていた。
しかし、この2、3年のアベノミクスによる円安株高の好景気で企業業績は最高益を上げる中、若者の賃金もアップし初任給も上昇するなど若者の所得環境は大幅に好転し、若者の消費環境もそれに対応し大きく変わりはじめている。
「お金がないから消費をしない」ということから「お金があっても消費は抑える」といった消費に対する自由な考えが顕著になってきた。
今から約40年前、高成長期の真っただ中であった1977年頃に「独身貴族」という言葉が使われだした。高度経済成長期を乗り越え「モーレツサラリーマン」などという言葉が古くなったとき、結婚することを拒否し、自分の稼いだお金も時間も全て自分の趣味や楽しみに使い、家庭に束縛されない、そんな人種が現れた、それが「独身貴族」である。現代の若者は貴族とは言い難いが、独身者として消費を抑えつつスマホを自由自在に駆使する姿は、当時のパワフルな若者と『自由』という観点ではかなりの共通点を持つ。
確かに、この10数年間で見えにくくなった若者消費だが、この数年の好景気になってきた状況の中で、若者は何にお金を使っているのだろうか。その生活状況の実態はどうなっているのか。
若者の消費に焦点を当て、若者を取り巻く社会経済環境の変化を踏まえた若者の消費行動や意識、若者の消費生活についてレポートする。本稿では、若者とは、主に10代後半から20代までの勤労者世帯を指して取り上げるが、統計上の都合等により、30代を含む場合もある。
執筆者 マーケット・プレイス・オフィス代表 立澤芳男(たつざわよしお)
■流通系企業の出店リサーチ・店舗コンセプトの企画立案
/都市・消費・世代に関するマーケティング情報収集と分析
■現ハイライフ研究所主任研究員
■元「アクロス」編集長(パルコ)/著書「百万人の時代」(高木書房)ほか
現代若者考・レポート 第6回 全文は以下のリンクからもお読みいただけます。
≪目次≫
Ⅰ-今どきの若者の「家計の実態」
横ばいの可処分所得、慎重な消費支出、将来見据えた貯蓄
Ⅱ-大きく変わった今どきの若者の消費
若者の「○○消費離れ」は?
Ⅲ-今どきの若者の消費行動と意識
スマホで大きく変わった若者の消費スタイル
執筆者メモ
若者の「○○消費離れ」は時代の産物。未来消費社会への序章
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