[3]六本木:この街はどこへ向かうのか? 添田昌志
六本木:この街はどこへ向かうのか?
六本木は、ご存知の通り、「六本木ヒルズ」と「東京ミッドタウン」という大規模再開発が行われ、さらに「新国立美術館」が新設され、現在「アートトライアングル」として注目を集めている地域である。それらの開発がこの地区にどのような価値をもたらすのであろうか、フィールドサーベイによって考察を試みた。
六本木ヒルズ 新国立美術館 東京ミッドタウン
そして、六本木の街を何度も歩いて得た結論は、これからこの街はどちらの方向に進むのだろう?という疑問であった。大規模再開発の宿命として、オフィス、住宅、美術館、商業施設、ホテルなどなどを複合させてはみたものの、それ故に、街として目指す方向性が分かりにくくなってしまっている。もちろん、再開発によって、これまでになかった公道(六本木けやき坂通り)や、広い緑地(ミッドタウンガーデン)など、新しい公共物が提供されたことは評価に値する。しかし、そもそも、この街をどうするための再開発だったのかがどうも見えてこない。歓楽街であった六本木を、働く街にしたいのか?買い物の街にしたいのか?それとも、アートの街にしたいのか?ミッドタウンは、キャンティにセレブが集った70年代の古き良き六本木に戻したいと言うのだが、実態はどうも乖離している気がする。個人的には、どの方向性も、街の骨格とはずれているこれら再開発の位置取りと同様、何かずれているような気がしてならない。思えば、都心に郊外を作りたかった「豊洲」、三菱のブランド価値を高めたかった「丸の内」は、そのコンセプトと空間づくりの手法が明快に一致していた。
六本木がこれからどう変化し、人々にどう認知されていくのか、その答えを知るにはもう少し観察を続けるしかないのだろう。
街の骨格とずれたアートトライアングルは、人々の心にトライアングルを認知させることはできない。今後予定されている六本木一丁目の再開発も、骨格とずれていることに変わりはない。
「アートトライアングル」に囲まれた地域(六本木7丁目周辺)は六本木とは思えないような古い住宅街で、ここに何かが起きる予感は今のところしない。
[添田 昌志]
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- 日時:20:20
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