[2]男の料理
「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」に関するトピック
長谷川文雄
[2]男の料理
男性が厨房にはいることは珍しくなくなっている。NHKで『男の料理教室』が放映され始めたのは、1983年である。NHKが定期的に行っている「日本人の意識調査」の中に、男性の家事への参加・協力を尋ねた項目がある。「男性も手伝うべきだ」を指示する割合は、73年次が53%だったのに対し、『男の料理教室』が始まった83年には、67%、そして03年には86%に達している。
また、東京ガス都市生活研究所の生活定点調査に拠れば、首都圏に住む20歳以上の男性で、料理を実際行っている割合は、90年が40%程度だったが、05年には55%を超え、上昇の傾向にある。2人に一人は何らかの形態で家庭において料理をしていることになる。
01年末に、ベターホームが料理教室に通っている20~49歳の男性を対象に調査を行っている。そこでも興味深いいくつかの知見が得られている。まず、料理を習おうとしたきっかけは、「家族、友人にすすめられて」、「料理にチャレンジしたかった」、「趣味のレベルアップ」の順になっているが「生活上必要に迫られて」は既婚者が6.8%なのに対し、未婚者では14.0%と、倍以上になっているのは興味深い。また、「料理を習うようになって良かったことは」の問に対し、「料理の楽しさを知った」、「食全般に関心を持つようになった」、「気分転換の場ができた」などの項目が指示されているが、やはり、既婚者と未婚者の間で、見解が異なって興味深いのは、「普段から料理をするようになった」(既婚者:19.7%、未婚者:10.0%)、「外食が減った」が(既婚者:5.1%、未婚者:11.0%)、となり、「学習効果」が読み取れる。
男性の料理はいままで趣味の域を超えていなかったが、以上の調査結果からも読み取れるように、生活を営む上で必要な行為になろうとしている。その背景には、未婚男性の増加や夫婦共働きの一般化など社会的状況を反映しているのだろう。
[長谷川文雄]
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- 日時:17:31