2007年10月 アーカイブ

High-Life Review&Future vol.4

巻頭インタビュー 
「理想とするハイライフ」
 上山良子(長岡造形大学名誉教授)
 
 今回は、ランドスケープの世界的第一人者である上山良子氏に、「理想とするハイライフ」について語っていただきました。
 人類のはてしなき宇宙への憧憬を感じられる場を創りたいとおっしゃる上山氏にとって、ハイライフとは、「時間と空間を自由に楽しめる生活」そして付け加えるなら「地球への負荷が少ない生活」ができることだという。さらに「人が人を大切にする心」が何よりも大事だという。


特集テーマ
食ライフスタイル変化のこれまでとこれから

2002年度に調査された「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」をレビュー&フューチャー。

[1]研究総括(1) 研究概要/今日的視点 乳井瑞代
[1]研究総括(2) 今後の展開 乳井瑞代
[1]研究総括(3) 研究にあたり 乳井瑞代
[2]インタビュー(1) 専門家:食のマーケティング 梅田悦史
[3]インタビュー(2) 専門家:フードコンサルタント 桑原才介
[4]インタビュー(3) 文京区立かごまち保育園
[5]インタビュー(4) 共働き主婦 安達祐子

TOPICS
「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」に関するトピック
 長谷川文雄

今回の特集テーマである「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」に関して、注目されるトピックを3つ紹介します。

[1]下がり続ける日本の食料自給率 
[2]男の料理 
[3]単身者の食ライフスタイル 


こんなハイライフあんなハイライフ 世界の居住「中国上地坪村のトン族」
山畑信博(東北芸術工科大学教授)

世界中の様々なスタイルのハイライフを探します。今回は、中国貴洲省上地坪村のトン族の住居を紹介します。

編集後記

上山良子インタビュー

「理想とするハイライフ」

上山良子 長岡造形大学名誉教授へのインタビュー

 今回は、ランドスケープの世界的第一人者である上山良子氏に、「理想とするハイライフ」について語っていただきました。
 人類のはてしなき宇宙への憧憬を感じられる場を創りたいとおっしゃる上山氏にとって、ハイライフとは、「時間と空間を自由に楽しめる生活」そして付け加えるなら「地球への負荷が少ない生活」ができることだという。さらに「人が人を大切にする心」が何よりも大事だという。


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rf4_ueyama.jpg上山良子

長岡造形大学名誉教授、株式会社上山良子ランドスケープデザイン研究所代表取締役所長

上智大学外国語学部英語学科卒業。カリフォルニア大学バークレー校環境デザイン学部ランドスケープアーキテクチュアー学科大学院修了。旧ローレンスハルプリン事務所のCHNMBにプロジェクトデザイナーとして参加。1982年帰国、上山良子ランドスケープデザイン研究所を設立。芝浦シーバンスランドスケープデザイン(1992年建築業協会賞受賞)、玉川高島屋ショッピングセンター20周年記念改装、、長岡平和の森公園(1996年日本建築美術工芸協会賞受賞)、長崎水辺の森公園(2004年日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞金賞受賞)、きたまちしましま公園(2006年日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞受賞)などに携わる。
主な著書: 『環境をデザインする(共著)』(環境デザイン研究会)、『LANDSCAPE DESIGN-場を創る 上山良子作品集』(美術出版社)

株式会社上山良子ランドスケープデザイン研究所
http://www.ueyamalandscape.co.jp/info.html

[1]研究総括 (1)研究概要/今日的視点

特集 「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」

[1]研究総括 (1)研究概要/今日的視点

 2002年度に調査された「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」をレビュー&フューチャー。
 本研究の概要、今日的視点と今後の展開について、乳井瑞代氏より解説します。



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uehara.jpg乳井瑞代

学習院大学 経済学部経営学科 非常勤講師

筑波大学第三学群社会工学類卒業、1987年学習院大学経営学研究科博士前期課程修了(経営学修士)、その後、花王㈱、㈱東急総合研究所・客員研究所等を経て、1995~1997年度、2000~2002年度の2期に亘り、(財)ハイライフ研究所の客員研究員として、食ライフスタイル研究に携わる。現在、学習院大学 経済学部経営学科に所属し、専門は、マーケティング(特に、ブランド戦略)と消費者行動論。最近では、女性のライフコースと生活(消費)行動の関係性について、精力的に研究中。

[1]研究総括 (2)今後の展開

特集 「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」

[1]研究総括 (2)今後の展開

乳井瑞代




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[1]研究総括 (3)研究にあたり

特集 「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」

[1]研究総括 (3)研究にあたり

乳井瑞代

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[2]インタビュー(1)梅田悦史(専門家:食のマーケティング)

特集 「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」


[2]インタビュー(1)専門家:食のマーケティング 梅田悦史

 長年食のマーケティングにたずさわってこられた梅田氏に、近年にいたる「食ライフスタイルの変化とこれから」についてインタビューしました。
 食材の7割以上を海外に依存する日本の危機的現状、食・生活は、食料自給率や健康面と密接に関係していること、国内における栄養学・栄養管理研究の不足などを指摘いただきながら、今後日本人の食はどうなっていくのか興味深いお話をお聞きしました。



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梅田悦史
U&ME Inc. 株式会社 ユー&ミー 代表

味の素(株)広告企画部長、CD食品統括企画部、味の素ファルマ・メディカル・ニュートリション事業推進部長を経て、株式会社 ユー&ミーを設立。食のマーケティングを中心に、商品企画、ブランド構築、広告、SPやパッケージデザインなど総合的なマーケティング・コミュニケーションをプロデュース。パッケージ、広告などでは多くの受賞作品を生み出している。現在多くの企業の講師、大学、官庁などでの講演、指導にあたっている。

参考資料 PDF形式ファイル

[3]インタビュー(2)桑原才介(専門家:フードコンサルタント)

特集 「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」

[3]インタビュー(2)専門家:フードコンサルタント 桑原才介

 外食産業の専門家として、様々な高感度なショップやシーンをプロデュースしている桑原氏に、最近の食ライフスタイルの変化について語っていただきました。最近の皆さんの食事はせわしないシーンばかり、私にとって食事にはお酒はかかせないとおっしゃる桑原氏の真意は、「酒と料理のある食卓シーンはゆっくり食事している場面」なんだと。そして酒はきっと二人以上で飲むことが多いので、食事に人の会話もある・・・。こういうのが本当の食事なのではと、イタリアをはじめ海外の食卓シーンを事例に熱く語っていただきました。

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桑原才介

桑原経営研究所株式会社 代表

飲食産業の研究、様々な飲食業態の研究・プロデュース。数多くの飲食ビジネス等のトレンドに関する執筆活動を行っている。著書は、『飲食トレンド最前線-お客様にジャストミートする飲食店』(商店建築社)、『繁盛する店が美味しいのだ』(商業界)、『六本木高感度ビジネス』(洋泉社)、『都市ごころを読め-飲食ビジネス最前線』(ティービーエス・ブリタニカ)、『高感度店を創る-台湾屋台、墨絵、東花房、火独楽 快適空間づくりのノウハウ』など多数。


[4]インタビュー(3)文京区立かごまち保育園

特集 「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」

[4]インタビュー(3)文京区立かごまち保育園

 共働きの多い現代社会において、子育て中の家庭においては、保育施設の存在はますます重要な存在となってきている。今回は、「食スタイル」という視点から子どもそしてご家庭の食育にも大変力を入れている「文京区立かごまち保育園」を取材しました。

※ 文京区立かごまち保育園は、2002年に駕籠町小学校の空き教室を改修し、3歳児までの保育園に転用した公設民営の施設で、株式会社ベネッセチャイルドケアが運営事業者となっている。平成16年度には「食育コンクール2004奨励賞」を受賞。


以下の御三人に保育園での取り組み等についてお話を伺いました。

文京区立かごまち保育園 園長 池辺美奈子
管理栄養士 高澤美和子
株式会社ベネッセスタイルケア
チャイルドケア事業部サブマネージャー 佐久間貴子

viewicon_wmv.png 収録後の雑談より

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rf4_kagomachi.jpg文京区立かごまち保育園

2002年に駕籠町小学校の空き教室を改修し、3歳児までの保育園に転用した公設民営の施設で、株式会社ベネッセチャイルドケアが運営事業者となっている。。平成16年度には「食育コンクール2004奨励賞」を受賞。


(左から高澤さん、池辺さん、佐久間さん)

[5]インタビュー(4)安達祐子(共働き主婦)

特集 「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」

[5]インタビュー(4) 共働き主婦 安達祐子

 音楽活動を続けていらっしゃる安達氏に、共働きの主婦として、ご自身の中で、どのような食スタイルの変化を感じているのか、忙しい毎日における食事の工夫、そして理想の食スタイル等についてお話を伺いました。




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安達祐子

昭和音楽大学音楽学部声楽課卒業後、コンクール活動とともに、ピアノ、声楽指導の他にも子どもの音楽教育に幅広く参画。夫がイタリアンシェフということもあり、大変忙しい共働きの中にも、心強いパートナーといっしょに様々な食スタイルを楽しんでいる。







[1]下がり続ける日本の食料自給率

「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」に関するトピック 
長谷川文雄

今回の特集テーマである「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」に関して、注目されるトピックを3つ紹介します。

[1] 下がり続ける日本の食料自給率

 日本の米が中国に輸出され、現地米の25倍もする値段なのに、人気があるという。日本の食品が安全に配慮し、品質がよいことから、このような値段の格差があるにも拘わらず売れているというのは、誇れることだといえる。これは米だけでなく、リンゴなどの果物も定評がある。

 しかし、食料全体となるとそうはいかない。農林水産省の発表に拠れば、06 年の日本の食料自給率は39%に落ち込んでいる。食料自給率は、いうまでもなく日本人が食べている食料を国内で賄える割合で、一般的にはカロリーベースで計算される。図は世界の先進国の自給率を示したものだが、米国やフランスは100%を超し、本格的な輸出を行っている。イギリス、ドイツ、イタリアでも60%以上に達し、日本が先進国に中ではきわめて低い水準にある。

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 その原因はいろいろあるが、最大の要因は、日本人の食事スタイルが欧米化された点にある。たとえば、米はかつて侍の働きを示す尺度であったほど日本人に馴染み深いが、国民一人あたりの消費量は60年度が114キロだったのに対し、06年度には約その半分にまで落ち込んでいる。パンや肉食が増え、日本人の健康管理にも影響を及ぼしている。


 共働きが一般化し、食事に余り時間が掛けられなくなってきた現在、手軽に食べられるレトルトなど、海外からの輸入に頼る食材も少なくない。食糧確保の安全保障、食の安全、そして日本人の健康管理も含め、自給率の向上と、食生活の中身について、真剣に考えければならない状況に来ている。


資料:日本以外のその他の国についてはFAQ"Food Balance Sheers"等を基に農林水産省で試算。ただし、韓国については、韓国農村経済研究院"Korean Food Balance Sheet2001"による(1990,1980,1990及び1995〜2001年)

[長谷川文雄]

[2]男の料理

「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」に関するトピック 
長谷川文雄

[2]男の料理

 男性が厨房にはいることは珍しくなくなっている。NHKで『男の料理教室』が放映され始めたのは、1983年である。NHKが定期的に行っている「日本人の意識調査」の中に、男性の家事への参加・協力を尋ねた項目がある。「男性も手伝うべきだ」を指示する割合は、73年次が53%だったのに対し、『男の料理教室』が始まった83年には、67%、そして03年には86%に達している。rf4_topic3.jpg
 
 また、東京ガス都市生活研究所の生活定点調査に拠れば、首都圏に住む20歳以上の男性で、料理を実際行っている割合は、90年が40%程度だったが、05年には55%を超え、上昇の傾向にある。2人に一人は何らかの形態で家庭において料理をしていることになる。


 01年末に、ベターホームが料理教室に通っている20~49歳の男性を対象に調査を行っている。そこでも興味深いいくつかの知見が得られている。まず、料理を習おうとしたきっかけは、「家族、友人にすすめられて」、「料理にチャレンジしたかった」、「趣味のレベルアップ」の順になっているが「生活上必要に迫られて」は既婚者が6.8%なのに対し、未婚者では14.0%と、倍以上になっているのは興味深い。また、「料理を習うようになって良かったことは」の問に対し、「料理の楽しさを知った」、「食全般に関心を持つようになった」、「気分転換の場ができた」などの項目が指示されているが、やはり、既婚者と未婚者の間で、見解が異なって興味深いのは、「普段から料理をするようになった」(既婚者:19.7%、未婚者:10.0%)、「外食が減った」が(既婚者:5.1%、未婚者:11.0%)、となり、「学習効果」が読み取れる。

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 男性の料理はいままで趣味の域を超えていなかったが、以上の調査結果からも読み取れるように、生活を営む上で必要な行為になろうとしている。その背景には、未婚男性の増加や夫婦共働きの一般化など社会的状況を反映しているのだろう。

資料:ベターホーム調査:http://www.betterhome.jp/anq/dansei/dansei.php

[長谷川文雄]

[3]単身者の食ライフスタイル

「食ライフスタイル変化のこれまでとこれから」に関するトピック 
長谷川文雄

[3]単身者の食ライフスタイル

世帯構成の変化をみると、単独世帯つまり一人住まいの割合が年々高まり、今後も増える傾向にある。口問題研究所の予測では、2025年にはほぼ3分の1に達する。

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それでは、一人暮らしの食生活はどのようになっているのだろうか。
東京ガス都市生活研究所が04年に行った『20〜50代単身者の食生活』調査はそこにスポットを当てている。

・ 平日、朝食は家で食べる割合が多いが、若い世代は抜く傾向にある。食べるものは半数がパン、3分の1がお握りなどご飯となり、若い世代ではおかずなし(46%強)という殺風景なイメージが出てくる。50代は自分で調理して食べる割合が増えてくる。rf4_topic3_2.jpg


・ 平日の夕食は、男女差が大きく、自宅派は男性で52.4%、女性で70.5%に達し、外食派は、男性で35.1%、女性で15.4%になっている。やはり女性は自宅派が多く、調理も市販の食品を暖めたりする程度のものから、素材を購入していわゆる料理する割合が高まっている。男女とも休日は家で食べる割合が高まっており(56.1%)、素材から料理する割合大きい。休みの日は、せめて料理らしい料理をするということなのだろうか。

(資料:『20〜50代単身者の食生活』 東京ガス 都市生活研究所)
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・ 中食についての質問では、半数以上が週に1度は既成の総菜や弁当を利用し、コンビニの利用が多い。特に、男性にその傾向が強いという。食材や総菜の宅配サービスは65.5%が利用しないとしている。

(資料:『20〜50代単身者の食生活』 東京ガス 都市生活研究所)


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・ 総じていえば、単身者は手間暇掛けず、手軽に食べられるコンビニ、デパ地下などで弁当や総菜を購入し、自ら素材を買ってきて料理をする割合は高くないといえるだろう。

(資料:『20〜50代単身者の食生活』 東京ガス 都市生活研究所)

[長谷川文雄]

世界の居住(4)「中国上地坪村のトン族」

こんなハイライフあんなハイライフ

世界の居住(4)「中国上地坪村のトン族」

山畑信博(東北芸術工科大学教授)

世界中の様々なスタイルのハイライフを探します。今回は、中国貴洲省上地坪村のトン族の住居を紹介します。


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山畑信博

東北芸術工科大学デザイン工学部
建築・環境デザイン学科教授

世界を歩き回り、各地の様々な住まいを建築学として研究している。まちづくりにおける景観やアートデザインなども専門。
数回にわたって、世界の居住についてレポートしてもらいます。


第4号 編集後記



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編集スタッフ
[発行] (財)ハイライフ研究所
[発行人] 高津春樹
[発行日] 第4号(vol4.1)2007年10月
[スタッフ]
プロデューサー 長谷川文雄
エディター 小山田裕彦
サブ・エディター 萩原宏人
WEBデザイナー 熊倉次郎(ISLA) 吉野博満(ISLA)
エグゼクティブ・アドバイザー 加藤信介

ご意見・お問い合わせ
info_rf@hilife.or.jp