[3]海外ロングステイ

「複数居住」に関するトピックス 
長谷川文雄

[3]海外ロングステイ

リタイア後に実現したいライフスタイルのなかで、人気が急上昇しているのが「海外ロングスティ」である。(財)ロングステイ財団による定義では、「生活の源泉を日本に置きながら海外の1か所に比較的長く滞在し、その国の文化や生活に触れ、現地社会に貢献を通じて国際親善に寄与する海外滞在スタイル」としている。まさにマルチハビテーションである。

定年後のシニアに人気があることから、「生活を豊かにし、自分らしい生き方を実現する」、「年金でも十分生活できる」、「日常生活が安全で、安心して過ごせる」といった事項が前提条件になるようだ。

人気があるスティ先は、

・ 東南アジア:タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア
・ オセアニア:オーストラリア、ニュージーランド
・ 北米:米国ハワイ、米国西海岸、カナダ(バンクーバー)
・ その他:スペイン、イタリア

JTBを始め、いくつかの旅行代理店ではロングスティを支援するため、体験型のツァーを開設している。ここで強調している点は、ロングスティは旅行ではなく現地での生活文化に触れることだとしている。海外で生活する以上、最低限のことば、宗教、生活習慣などいわゆる文化的背景を理解しなければならず、その実態に触れてくるという。

また、全国各地でセミナーや講習会が開催されている。大学で取り上げているのも興味深い。たとえば、城西大学では、東京紀尾井町キャンパスで「もう一つの選択?海外ロングスティを考える」と題する公開講座を開講している。

ロングステイ財団の調査では、滞在者が現地にうまく馴染めず、いくつかのトラブルも起きているという。

何でも日本と比較して、思い通りにならないと怒ったり、会社人間の延長で何かと排他的なクラブを作ってみたり、かっての会社の地位がそのまま生きていると錯覚し、命令口調になって現地で世話してくれる人々を見下すなど、人間性が問われるようなことが起きるという。これでは、自分らしい生き方を追求するためのマルチハビテーションの精神からかけ離れたものとなり、本人が満たされないだけでなく、日本人のわがままさや、傲慢さを輸出することになりかねない。

団塊の世代は、在職中に公私にわたって海外出張や旅行の経験があり、海外ロングステイに対する関心が高いことから、今後急速にこの市場が伸びていくものと考えられる。

※参考URL

城西大学の海外ロングステイ案内 http://www.josai.jp/lifelong/ex/2006A/aday/06212.html

海外ロングステイ総合案内 http://www.i-joho.net/longstay/

海外ロングステイの方法 http://www.ne.jp/asahi/napoleon/kaoru-salon/

海外ロングステイの基礎知識 http://www.ledby.net/01/


[長谷川文雄]