まちの価値を維持していくこと デザインガイドラインとは
編集局作成
幕張新都心住宅地 都市デザインガイドライン(以下、デザインガイドライン)とは、千葉県企業庁が定めた幕張ベイタウンにおける都市デザインの具体的な設計に対する指針です。都市デザインの目標、街の地区区分、住棟のデザイン、屋外空間のデザイン、都市景観先導施設と街並み形成について、具体のイラストとともに示されています。デザインガイドラインがめざすところは、全体的には調和のとれた街並み形成を図りながら、個々の施設においては、創意工夫に富んだ魅力的なデザインの展開が図られることであり、すべての計画はガイドラインに則って、あるいは発展的に柔軟な対応をもって行われてきました。
特徴としては下記のような点があげられます。
1)マスタープランを補完する
事業計画では、沿道中庭型住宅と格子状道路により基盤建築一体の都市空間計画を示しました。しかし、施設空間の整備主体は8住宅事業者であり、それぞれの担当街区は混合して配置されたことから、デザインガイドラインを運用することにより、相互の形態協調や干渉回避を図り、施設空間の集積が調和のとれた都市空間を形成するように導くことにしました。
2)沿道中庭型住宅を技術面で保証する
沿道中庭型住宅をめぐっては、日陰や見合い、住棟の方位と外観の関係、駐車場と中庭の取り合いなどの技術的課題がありました。国内事例が乏しいため、建築設計レベルまで事前検討し、具体的な設計指針を示す必要がありました。
3)固定基準ではなく運用に裁量性がある
都市デザイン方針の作成及び審査権限は、千葉県企業庁の委任で各住宅事業者専属の都市デザイン専門職「計画設計調整者」にありました。デザインガイドラインは固定基準ではなく、事業の進捗に伴う反省や事業環境の変動を反映しながら運用され、計画設計調整者は、各施設街区の事業運営を阻害せず創意工夫を促進するようにしました。
次に、このデザインガイドラインの要旨について具体例を交えて説明します。
参考文献:
千葉県企業庁, 幕張新都心住宅都市デザインガイドライン, H13改訂版, 2002.3
前田英寿、沿道囲み型住宅の面的展開による都市空間形成 -住宅地開発事業における設計指針の策定と運用-, 日本建築学会計画系論文集第606号, P99-106, 2006.8
- 投稿者:東京生活ジャーナル
- 日時:14:50