2010年04月 アーカイブ

変えるものと変えないことと  野毛の概要

 今回の東京生活ジャーナルは、横浜の野毛商店街を取り上げます。この地では1990年代半ばに、当時予定されていた東急東横線桜木町駅の廃止や隣接するみなとみらい地区の整備を見越し、街の活性化を目的とし、横浜市の整備事業の一環としてまちの景観作りを進めました。その時に想定されていた周辺の変化が現実のものとなった現在、当時仕掛けたものの効果は果たしてどのように生きているのでしょうか。まず今月は、整備事業に建築家の立場で関わった山口勝之氏へのインタビューを通して、事業の経緯からお伺いします。

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変えるものと変えないことと 山口勝之氏インタビュー(1)

山口勝之氏プロフィール
(株)ユーディーエー 建築家・都市計画家
1981年東京工業大学工学部建築学科卒業。
都市からプロダクトまで環境全般のデザインをフィールドとする。お台場「デックス東京ビーチ」の建築基本計画及び商業環境デザインほか、活動は多岐にわたる。一級建築士、日本建築家協会登録建築家、技術士(都市・地方計画)。


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インタビュー風景(山口勝之氏)


― 野毛商店街の街路整備にかかわった経緯についてお聞かせください。

◇危機感が街の整備を促す
 そもそものきっかけは1990年半ばに、東急東横線が桜木町に来なくなり、みなとみらいの方に地下鉄、地下化する計画が出たことが発端です。みなとみらい地区も徐々に整備され、若い人たちはみんなみなとみらいの方に行ってしまうという状況が見えてきました。この計画を始めたのが1997年なのですが、その頃から、今から手を打たないとまずいという雰囲気になっていました。これは横浜市が音頭を取ったのですが、市が補助金を出すので、今のうちに野毛の街として何か対策を考えたほうがいいのではないかと街に対して発信をしました。それと同時にコンサルタントを付けて、勉強会やりなさいということで始まりました。我々が縁あってそこのコンサルタントをやることになったのです。

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