2010年03月 アーカイブ

1年間の総括として はじめに

 今年度の東京生活ジャーナルでは、まちづくりフィールドレポートと題して、「銀座」、「港南」、「佐原」、「たまプラーザ」、「八潮」の5つの街におけるまちづくりに関わっている人々へのインタビューと現地調査を行いました。その中で、歴史や開発背景の異なる街であっても、当初は想定していなかった意外な共通点などが見出されたりしました。

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1年間の総括として 街の価値とルールのあり方

編集局 大澤昭彦

 八潮のまちづくりに関わる曽我部氏は「一般的な景観ルールのような規定」や「最低基準」を定めても街は良くならないと述べている。
 確かに、最低限のルールによるネガティブチェック的な規制は、建築紛争を予防し、最悪の事態から街を守る防波堤にはなるが、街を積極的に良い方向への導く推進力を持たない。

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1年間の総括として 都市の世代間意思伝達

編集局 川上正倫

都市の変化をどう考えるか

 最近中国上海を頻繁に訪れる機会があり、なにかしらのエネルギーに押されて都市がめまぐるしく変化していく様に驚嘆させられている。まさに「あっと言う間」に変化していく様子を眺めているとそこには異議を唱える隙すらなさそうである。実際、中国の建築家と話をすると、価値を問い直す間もなく、政治的な意向や商業上の思惑による大規模開発によって古い街が廃棄され、生まれ変わっているのだという。ただ、その状況には、おそらく50年前の日本にもあったであろう、飛躍・進歩への意思があり、都市問題としては必ずしも「改悪」とは限らない。そしてあまりのスピードの早さに移行に伴う新旧共存のストレスもほぼ無関係といえる。そんな中で新しく上海に入ってきた人々にとっては、おそらくそこが上海の原風景のスタートなるのだろう。そう思うと、ふとまさしく今年の万博の標語にもなっている「better city better life」に対する上海の決定をどのように昔の上海を知らない新入者に伝えるのかが気になってしまった。検討なき新しき様式の導入が「昔はよかった」という後悔を引き起こすこともなく、都市の歴史が書き換えられる非常にデジタルな状況といえる。

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