町の資源を生かすために 佐原の概要

編集局 添田昌志
 
 佐原は東京からは 70Km圏の千葉県の北東端に位置し、茨城県との県境に接したまちです。江戸後期に利根川水運による交通が開け、米やその他の商取引の集散地となり、交通・経済・文化の中心地として発展を続けました。しかし、時代が変わり昭和後期になると物流システムの変化のため、一時は「さわら砂漠」と呼ばれるほど町が衰退しました。

 ところが、平成に入ってから利根川支流の小野川沿いに、木造や蔵造りの町家などの伝統的建造物を生かした町並みが形成されるようになり、町に活気が蘇ってきています。

 このような町並みが形成される背景には、町の人々のつながりや町に対する熱い思い、そして、現状の法規や制度では対応できない部分を乗り越える創意工夫があるようです。また、佐原の大祭(豪華絢爛に飾った幣台(やだい)が、古い町並みを練り歩くもの。年2回行われる。)も近年よく知られるようになっていますが、このお祭が住民の自治システムや価値観の共有・継承に大きな役割を果たしていることも分かってきました。

sawara-location.jpg
佐原の位置

 そこで、今回は上記のような佐原のまちづくりの特徴について、当地を長年研究されてきた、財団法人地方自治総合研究所の田口一博氏にお話を伺いながら、まちの活性化や町並み形成とは何かについて考えていきたいと思います。

sawara-photomap.jpg
佐原の市街地マップ(編集局作成)


田口 一博氏
財団法人 地方自治総合研究所 研究員
放送大学 大学院文化科学研究科 修了。専門分野は地方自治、行政学、行政法
主要著作に『分権改革の動態』(共編著)東京大学出版会(2008年)、『一番やさしい自治体政策法務の本』学陽書房(2005年)。放送大学、東京大学、明治大学等の非常勤講師を務める。

町の資源を生かすために 田口一博氏インタビュー(1)を読む