2010年01月13日
街への意識を共有するために 全編
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- 東京生活ジャーナル
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■「八潮街並みづくり100年運動」の概要
街並みづくり100年運動とは、50年後、100年後を見据え、この街に住んで良かったと思えるような、八潮らしさを生かした魅力ある街並みを作るための運動。八潮らしい魅力ある街並みをつくりだしていくために、八潮の特徴について、日本工業大学、茨城大学、神奈川大学、信州大学、東北工業大学といった首都圏近郊の建築や空間デザインの専門的な知識や経験のある5つの大学が連携して調査研究を行っている。
■5大学による住宅モデルの提案
「八潮街並みづくり100年運動」で調査研究を担当している5大学が今年度の成果として発表した住宅モデル(全部で7モデル)。それぞれに身近にある八潮の街の特徴を捉え、それとの関係から住宅のあるべき形を提案している。
今回の東京生活ジャーナルでは、埼玉県八潮市の「八潮街並みづくり100年運動」を取り上げます。以前、このジャーナルでは千葉県佐原の伝統的町並みを生かしたまちづくりを取り上げましたが、そのような歴史的資源や特徴を持たない、一般的な住宅や町工場が広がる典型的な郊外における街並みづくりとは、何を捉えてどのように進めていけばいいのでしょうか。この街並みづくりに建築家として関わられている曽我部昌史氏へのインタビューを通して考えていきたいと思います。
曽我部昌史氏プロフィール
1962年福岡県生まれ。1988年東京工業大学大学院修士課程修了。伊東豊雄建築設計事務所勤務を経て1995年NHK長野放送会館の設計を機に、加茂紀和子、竹内昌義、マニュエル・タルディッツらと「みかんぐみ」を共同設立。住宅、保育園、ライブハウスなどの建築設計から家具、プロダクト、インスタレーションまで幅広くデザインを手がける。東京工業大学助手、東京芸術大学助教授を経て、2006年から神奈川大学教授。
インタビュー風景(曽我部昌史氏)
前回は「八潮街並みづくり100年運動」について、これまでの経緯や具体的な活動についてお話いただきました。今回は、住宅モデルの提案に込められた意図と住民の方の反応についてお伺いします。
― 2009年度は「家づくりからはじめる街並みづくり」として、家づくりスクールや住宅モデルの研究などすすめられています。行政主導のまちづくりとは違った視点で、住宅に着目した街づくりを行うことの意義とはどのようなものなのでしょうか。
◇ 街への意識を共有するために
実際にこの運動に関わってみて、一般的な景観ルールのような規定でつくる街づくりではなく、この街をどんなふうにしたいかという意識をみんなでシェアすることしか、街づくり的な運動としてはあり得ないんじゃないかということがわかりました。最低基準はこうです、というのを定めたところで、決して良くはならない。ある価値の体系みたいなものがみんなで共有できるようになるのが一番いいんじゃないかと思います。それにはやり方が色々とありますが、この街の特徴に対して敏感になることがこの街にできる建築物のデザインをより深く精度の高いものにしていくことに繋がるようなことをしたいと思ったわけです。