●路地
サンドイッチのように圧縮された住宅街。全てのスケールが小さい。しかしながら不思議と圧迫感を感じない。路地の道幅は3メートルもないが、見上げる空が広く近く感じる。平面的な密度は高いが、高層建築が無い(2階建て木造建築が主流)ため、圧迫感を感じない。
●谷中の外と内
谷中エリアを一歩出ると、高層マンションが建ち並ぶ町並みに遭遇する。 谷中はディズニーランドのように隔離された特別なエリアに思える。一歩入ると懐かしさを覚える。
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夕焼けだんだんから谷中銀座を臨むと、その先の高層マンションが見える |
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●昭和の面影を残す商店
昭和時代にどこの街にもあった日常的な商店(大型店舗に代わってしまった)が存在する。 店舗は奥行きがなく裏は住居になっている。店を訪ねると、裏座敷から店の女将さんが出てくる・・。 今日のおかずを・・というような日常的な商店が並ぶ。
●昭和の面影を残す商店街
夕暮れ時には買い物袋を下げたお母さんが集まるのだろうと想像させる商店街。5メートルもない間口の小型店舗が建ち並ぶ。商店の集合体(商店街)が日常生活を支えるモールとなっている。
●喫茶 甘味屋 ケーキ屋 お土産屋
喫茶店、甘味屋、菓子屋(ケーキ、和菓子)、観光客用のお土産グッズ屋が多い。 それだけ観光客が多いということか。 昔ながらの店舗スタイルに加え、ややお土産屋に媚びた形態も増えているのではないか。
●谷中のデザイン
古き良き昭和懐かしデザインに加え、モダンな店舗デザインを見つけることができる。アートギャラリーも目立つ。アート&デザインに敏感なのは芸大の近隣という立地の関係か。
●デジャブな風景
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閑静な寺の風景
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●看板
谷中らしい伝統スタイルの看板デザイン
●日常と観光が重なり合う街
寺町として栄えた谷中は震災や戦火を免れたため、戦前の町並みをそのまま残している。商店街も住宅街も一握りの小規模なものだけに、個々の関係は濃密であり、互いに依存しながら存在しているように見える。 夕飯の材料は冷蔵庫には無く、手を伸ばせば豆腐屋に届く距離感なのだ。一方、商店も日常生活と共存しており、台所に立っていた母親が濡れた手を拭き拭き接客もするという具合だ。路地を隔ててはいるが、そのような圧縮された空間で「日常生活」がおくられている。 もともと寺町として栄えた機能を継続しながら、戦前の生活風景を維持した街の面白さが観光資源となり、街を訪れる人々が増えている。商店街には「観光商業」を目的にした、喫茶店、お土産店舗が増えている。 長年この街で暮らしている人々(お年寄り)は、生活のリズムを変えることなく住み易い街に違いない。しかし、生活範囲の広い新世代にとっては、日常生活全てをこの街に負うことは不可能だ。商店街(谷中銀座他)における観光店舗比率は徐々に大きくなっているのではないか。 谷中の商店街が生き残っていくためには、この街の外にある大型店舗との両立が必要になる。徐々に観光特化される谷中商店街が、今以上の観光パワーを持つためには、住宅街、墓地、学校など街が一体化した谷中ランド観光戦略が必要だろう。しかし、谷中の魅力は実生活が営まれている空気なので、ディズニーランド的な書き割りの街に魅力を感じることができるか分からない。
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