表参道

表参道地図
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フィールドワーク
石垣 勤
 
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●視点:表参道の「商業」に注目する。商業店舗の景観に及ぼす影響について。
      表参道の商業店舗を分類し、景観に及ぼす影響を探る。
      ファッショントレンドを牽引する表参道店舗の変遷は時代を映し出している。
      時代と共にある「店舗」と「景観」相互の影響を探る。

●表参道から発見した、町の魅力を商業店舗から計る切り口

  (1)表通りのファサード-1 ワールドブランドのファサード景観
  (2)表通りのファサード-2 全面ガラスのウィンドウ景観
  (3)表通りのファサード-3 広告塔の景観
  (4)オープンカフェとオーニング・フラッグ
  (5)裏通り(裏原宿)の店舗-1 手づくり店舗
  (6)裏通り(裏原宿)の店舗-2 住宅街の日常店舗
  (7)竹下通り お土産店舗の景観
  (8)商業店舗から観た景観

1)表通りのファサード-1 ワールドブランドのファサード景観

○ワールドブランドとしての格調高い店舗ファサードが並ぶ
○ケヤキ通りの幅広い歩道と相まって美しいファッションストリート景観ができる
○洗練されたケヤキ並木景観はニューヨークの五番街を思い起こさせる

   
アーティスティックなウィンドウディスプレーに目が惹かれる。    
     
   
ビルディングの壁面を光の装飾で覆い尽くす。夜の景観を形成する。   やわらかい布で店舗全体がカバーされている。入口から僅かに洗練された店内空間が覗くことができる。   ケヤキの大木が屋根になっている。広い歩道は店舗ファサードを映えさせる

 

2)表通りのファサード-2 全面ガラスのウィンドウ景観

○高級ブランドのファサードは全面ガラスが主流。モダンで明るい洗練された景観をつくりだしている。
○個性的なディスプレーがブランドをアピールしている。見るだけで楽しいガラスケースアートだ。
○大きく広い透明ガラスウィンドウにケヤキが映りこんで美しい。

   
ガラスのファサードから店内を見ることができる。高級感溢れる大空間を開放。   ユニークなアートをウィンドウディスプレーに活用し、注目を集めようとする試み。   ガラスのファサードからは店内も見通すことができる。

 

3)表通りのファサード-3 広告塔の景観

○表参道と交差する明治通りは歩道は狭いが「広告塔型」の店舗が並ぶ。
○明治通りはケヤキ並木が無いため視界が開け、店舗ファサードは絶好の広告看板立地となる。
○主張が強い店舗ファサードが互いにノイズになり景観を壊している。

   
 
   
ブランド名、ロゴを大きくアピールする店舗ファサード。ブランドカラーで目立とうとする意志が見える。   狭い歩道は来街者で賑わう。

 

4)オープンカフェとオーニング・フラッグ

○表参道の歩道に迫り出すオープンカフェは広い歩道とマッチして欧米の街を思わせる。
○欧米をイメージさせる街並にオーニングやフラッグが似合う。
○オーニングの色がアクセントとなり、しまった景観をつくりだしている。

 
 
 
オーニングはオープンカフェと共に急激に街の重要アイテムとなった。

 

5)裏通り(裏原宿)の店舗-1 手づくり店舗

○裏原宿と言われるエリアには住宅と混在してストリートファッション店舗が集積している。
○住宅をつくりかえたクリエイティビティ?に溢れる店舗。
○生活感のある日常的な風景も違和感が無い。

   
角立地のストリートファション店舗。八百屋であってもおかしくない。   古い木造家屋を店舗に改装し、和のブランド開発なのか暖簾が印象的で馴染む。   店から飛び出たカジュアルなディスプレーがいかにも楽しい。
 
   
手作りアートの展開   サーファーショップ前のベンチで寛ぐ?老若男女。このリラックス感が原宿らしい味だ。    

 

6)裏通り(裏原宿)の店舗-2 住宅街の日常店舗

○住宅街には生活感溢れる店舗も点在している。
○表通りとの景観ギャップは大きいが、それも街の魅力となっている。
○下町の情緒を感じさせる景観。

   
日常風景的なストリート景観   裏から見える表   原宿の八百八さん
 
     
    裏通りの日常景観    

 

7)竹下通り おみやげ店舗の景観

○狭い通りは中高生でぎっしり埋り、店頭からは商品が競り出ている
○ファッショングッズ、タレントショップなど、ローティーン向けのお土産店舗が並ぶ
○毎日がお祭りの竹下通りは落ち着いた景観とは縁が遠い。お祭り景観とでも呼ぶのか

   
立錐の余地もない、お祭り状態のストリート。地価が中途半端に高く、ファーストフード店とお土産グッズ店舗に特化されてしまった。   商品が迫り出すファッショングッズの店舗
 
   
    タレントショップなど、お土産グッズ店舗も多い。

 

8)商業店舗から観た景観

表参道といえばおしゃれなファッションの街である。ケヤキ並木に彩られた広い歩道はブティックやカフェが並び、欧米を思い起こさせるおしゃれな景観を形成している。日本中で最も洗練された商業エリアと言われ、最近は一流ブランド店舗の出店が目白押しだ。
表参道の魅力はファッショントレンドを背負ってきた歴史にも起因する。裏通りはファッショントレンドの息吹きを感じさせ、若者からの人気が絶えない。表参道は戦後の復興と共に、豊かなトレンドを生み出す街としての構造を創りあげてきたのだ。
表参道の店舗は「表通り」「明治通」「裏原宿」に分類さる。それぞれユニークで個性的な情報発信をし、街の景観に影響を及ぼしている。

「表通り」の高級ブティックやカフェは欧米型のオシャレな並木道(アベニュー)を形成している。高級ブティックのウィンドウディスプレーはガラス壁アートと化し、カフェに集う人々はオシャレなマネキンと化してしまう。高級ブランド店舗としては格好なショールーム景観と言える。表参道ヒルズの開発は、更なる高級化を推し進めると予想される。
「明治通」はケヤキ並木の存在が無い為に、ファサードやビル壁面が格好の看板サインスポットとなっている。表参道ブランドを活用すべく、ナショナルブランドはこぞって出店、看板を掲げている。看板サイン情報は過多でノイズ化し、景観づくりには寄与していない。
「裏原宿」は基本的に住宅地であるため大型商業集積化は進まない。しかし、若者達のファションへの思い入れは手作り店舗を絶やさない。住宅と混在した景観は高級感はないが、クリエイティブな雰囲気を醸し出している。ファッショントレンドを生み出してきたこの街のパワーがここにある。

時代がどのように変わろうが、ファッションの街としてのアイデンティティーは変わらないと予想される。「表通り」と「裏原宿」の景観は絶対的に異なるが、ファションという基本で一致している。そのため幸福で絶妙なバランスを保つことができている。今後は明治通まわりと、日影規制により再開発を躊躇している老朽化した商業ビルの再開発が注目される。クリエイティブな表参道にこそ?景観が無個性になる再開発の図式?を打ち破って欲しい。